HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Mon, 07 Nov 2011 21:22:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:G20会議 危機はまだ目の前に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

G20会議 危機はまだ目の前に

 主要二十カ国・地域(G20)が首脳会議で欧州危機への協調行動を確認した。だがギリシャへの対応に追われ、新鮮味は乏しい。むしろイタリアなど他国への飛び火懸念が浮き彫りになった形だ。

 残念ながら、危機は去っていない。突然、国民投票実施を打ち出したギリシャは一転して投票中止を決め、最悪の結果に転落する事態は食い止められた。だが、情勢は依然として流動的だ。

 パパンドレウ首相が率いる内閣は信任されたものの、次の内閣がどうなるか、そして肝心のギリシャへの融資実行がどうなるか不透明感が残っている。欧州連合(EU)が先に決めたギリシャの債務五割削減が実施されたところで、確実に財政危機を脱するとも言い切れない。

 そもそも欧州の対応策が十分かどうか、議論があってしかるべきだったのに、今回のG20はギリシャの出たとこ勝負のような動きに振り回され、もう一歩踏み込む段階にまで至らなかった。

 欧州金融安定化基金(EFSF)の強化拡充、ユーロ圏各国の経済・財政のガバナンス強化、主要銀行の自己資本強化など、いずれも欧州が決めた対応策をそのまま追認するにとどまっている。

 わずかに新しいのは、国際通貨基金(IMF)とEUがイタリアの経済財政状況を監視すると決めた点だ。金融危機がイタリアにまで波及すれば、影響はギリシャの比ではない。G20も「ギリシャの次」を懸念しているのだろう。同様に財政危機が深刻なスペインにも注意を払うべきだ。

 銀行の自己資本比率を高める方策は不可欠だが、心配なのは新たな資本を調達できなかった銀行が比率の分母に当たる資産減らしに動かないかという点である。貸し渋りや貸しはがしが広がると、実体経済を冷やす結果になる。

 それを避けるためには、EFSFによる銀行への投融資機能を早く強化しなければならない。ところがここも細部を詰め切れず、中国など新興国の協力を取り付けるに至らなかった。

 このままだと全体の対応策が絵に描いた餅にならないか。欧州の金融市場は会議の結果を受けて株価が下落し、イタリア国債の利回りも高水準にとどまっている。これからは時間との競争になる。

 日本は野田佳彦首相が消費税率引き上げを国際公約した。国内で本格議論を始める前に国外で約束するのは手順が違う。どう説明するのか。基本姿勢を問いたい。

 

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