HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 19826 Content-Type: text/html ETag: "2cf94d-4807-519f40" Cache-Control: max-age=5 Expires: Tue, 08 Nov 2011 02:21:42 GMT Date: Tue, 08 Nov 2011 02:21:37 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2011年11月8日(火)付

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 ハウス野菜が広まり、八百屋の店先を移ろう四季は見えにくくなった。昨今、季節感にあふれるのはドラッグストアだ。この間まで店頭に盛られていた制汗や防虫の品々は影が薄く、風邪薬にマスク、使い捨てカイロが主役の座を占めている▼こうした備えの裏をかくように、聞き慣れない病気が流行中らしい。愛知、東京、大阪などで、秋口から子どもや若者に急増しているマイコプラズマ肺炎。しつこい咳(せき)と高熱が続き、高齢者がかかると重症化することもある▼皇太子ご夫妻の長女、愛子さまが入院したのもこの感染症ゆえという。同じ病院に、今度は天皇陛下が入院された。数日前から発熱で公務を見合わせていたところ、気管支炎が重くなり、大事をとられたと聞く▼「これまでの疲労が相当蓄積し、抵抗力が弱まっている」との診断だ。来月78歳を迎える陛下だが、今年は被災地へのお見舞い視察が加わり、多忙を極めた。定年や引退のない立場はお気の毒でもある▼小さなコラムを書く仕事でも、休めば同僚に迷惑をかける。だから真っ先にインフルエンザの予防接種を受け、たまには体に無理をさせる。頑張りすぎは禁物ながら、休むに休めぬ働き手はせめて旬の味でも食し、養生されたい▼〈柿の実の熟れたる汁にぬれそぼつ指の先より冬は来にけり〉谷崎潤一郎。きょうは立冬。西日本では遅い夏日もあったが、いよいよ北から寒気が流れ込んでくる。風邪との攻防だけでなく、節電という「団体戦」も再開である。

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