HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49213 Content-Type: text/html ETag: "a2919-1657-4b0ec164ddcb1" Expires: Fri, 04 Nov 2011 21:21:53 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 04 Nov 2011 21:21:53 GMT Connection: close 東電支援認定 賠償もリストラも加速せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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東電支援認定 賠償もリストラも加速せよ(11月5日付・読売社説)

 東京電力福島第一原子力発電所事故の損害賠償に関する、公的支援の実施が正式に決まった。

 枝野経済産業相が4日東電の経営合理化策などを盛り込んだ緊急特別事業計画を認定した。これを受け、原子力損害賠償支援機構が近く、東電に約1兆円の支援を行う。

 東電が、賠償金の支払い負担で債務超過に陥る事態は当面、回避される。着実な被害救済に向けて前進したことを評価したい。

 緊急計画は、東電の経営状況に関する政府の「経営・財務調査委員会報告書」をもとに、東電と支援機構が共同で作成した。

 支援機構から援助を受ける条件として、東電は今後10年間で、2・5兆円の経費節減など総額3兆円超のリストラを実施する。

 給与の削減に加え、退職したOBを含む年金給付カットなど、踏み込んだ措置も掲げた。

 OBの年金削減は、対象者の3分の2以上の同意が必要で、実施へのハードルは高い。だが、巨額の支援が国債で賄われる以上、東電は退職者を何とか説得して、年金を削減すべきだ。

 東電と支援機構は「経営改革委員会」を設置して、リストラの効果や内容を検証する。経営の無駄を徹底的に洗い出し、合理化策を追加することが欠かせない。

 緊急計画は、東電による迅速な賠償金の支払いや、請求書類の簡素化など、被害者への対応の改善策も示した。

 個人向けの賠償は約7万世帯が対象だが、現時点での請求件数は全体の5分の1にすぎない。東電が配布した賠償金の請求書類が複雑で難しすぎたことも、遅れの一因だろう。東電は、手続きの見直しを急がねばならない。

 被害者には、東電に対する不信感も根強い。そこで支援機構は、外部の弁護士ら5人単位のチームを編成し、計20チームが被災地で相談業務にあたることにした。有効に活用してもらいたい。

 原発事故の賠償額は当初2年で4・5兆円と推計され、今回の1兆円ではとても足りない。

 東電は今年度、原発を代替する火力発電の燃料費などで、約6000億円の赤字を見込む。さらに今後、原発の廃炉や除染などにも巨額の費用がかかる。事故の収束と賠償、電力安定供給の責務をきちんと果たせるか心配だ。

 東電と支援機構は来春、緊急計画に続く総合特別事業計画を策定する。その際は、東電への公的資本注入など、抜本的な経営強化策を打ち出す必要があろう。

2011年11月5日01時46分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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