HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 19846 Content-Type: text/html ETag: "1379ac-481b-3a8b0c0" Cache-Control: max-age=1 Expires: Sat, 05 Nov 2011 02:21:24 GMT Date: Sat, 05 Nov 2011 02:21:23 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2011年11月5日(土)付

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 野球評論家の野村克也さんは現役捕手の頃、ささやき戦術で打者を泣かせた。「もうカーブは投げられん」などの独り言から夜遊びの話題まで、ボソボソと気を散らす。ついには耳栓をして打席に入る選手が出たというから、効いたのだろう▼どのスポーツでも、ここぞという時の「雑音」は集中を乱す。ゴルフでは、せき払いやシャッター音も御法度だ。悩ましいのは対戦種目の場合で、己を奮い立たせる声が相手の迷惑にもなる▼女子テニス界で、サーブやラリーでの絶叫が論議を呼んでいるそうだ。有名どころではシャラポワ(ロシア、世界ランク4位)の「悲鳴」と、アザレンカ(ベラルーシ、同3位)の「遠吠(とおぼ)え」だという▼「意図的だ」と文句をつけたウォズニアッキ(デンマーク、同1位)によると、打球音が消されて球速が読みにくい。トップ選手の異議だけに、女子テニス協会も黙殺できまい。声の大きさは「列車通過時のガード下」に相当する100デシベル前後あり、観衆やテレビ視聴者からも苦情が来るらしい▼シャラポワ対アザレンカの動画を見た。モデル顔負けの両者が「ギャー」「ウー」「ギャー」「ウー」とものすごい。好きずきだが、これはこれで見応えがある▼そのアザレンカは中国での大会で、「ゲーム中は携帯電話を切って」と観戦マナーに苦言を呈していた。音源がコートの内か外かを峻別(しゅんべつ)するようだ。「泣き相撲」のように声の大きい方が勝つわけではなし、雄たけびもプロの個性と楽しみたい。

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