HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48956 Content-Type: text/html ETag: "15d9cf-1673-4b0d716d47216" Expires: Thu, 03 Nov 2011 23:21:43 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 03 Nov 2011 23:21:43 GMT Connection: close 中国の宇宙開発 日本も長期的な戦略が必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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中国の宇宙開発 日本も長期的な戦略が必要だ(11月4日付・読売社説)

 中国が、1日に発射した無人宇宙船「神舟8号」を、9月末に打ち上げた小型宇宙実験室「天宮1号」とドッキングさせることに成功した。

 独自のドッキング技術の獲得で、先行する米国、ロシアに並んだ。2020年を目標とする大型宇宙ステーション建設に向け、大きなハードルを越えたことを意味しよう。

 今月中旬に2度目のドッキング実験を行い、ノウハウの習得を目指す。来年は宇宙船を2回打ち上げ、うち少なくとも1回は有人でのドッキングを試みる計画だ。

 中国の宇宙開発のスピードは速い。自力で人工衛星を打ち上げたのは1970年で、日本に2か月後れをとったが、2003年にはロシア、米国に次いで史上3番目の有人宇宙飛行を実現した。

 急速な発展の背景には、宇宙開発にあたるのが国防部門で、潤沢な予算を投じていることがある。宇宙開発は軍事技術開発と表裏一体だ。米露に対抗できる強大な軍事力構築の一翼を担っている。

 07年には弾道ミサイルによる衛星破壊実験を行い、軍事衛星を攻撃できる能力を実証した。

 今回のドッキング成功も軍事的に大きな意味を持つ。弾道ミサイルを正確な軌道に乗せたり、宇宙で衛星の位置や速度を微調整したりする技術を得たことになる。

 共産党政権には、宇宙開発を国威発揚に利用する思惑もある。これまでも「国慶節」(建国記念日)などの節目に合わせて、宇宙船の打ち上げを行ってきた。

 将来の宇宙での資源獲得競争への布石を打つ狙いもあろう。

 中国は07年に初の月探査衛星を打ち上げた。13年に探査車の月面着陸、25〜30年に宇宙飛行士の月面着陸を目指している。月には核融合発電の燃料に使えるヘリウム3があることが知られている。

 今月中に、中国初の火星探査機もロシアの協力で打ち上げる。

 日米欧露など15か国で建設した「国際宇宙ステーション」は20年には廃止される見通しだ。それ以降、宇宙空間に人が長期滞在できる施設を保有するのは中国だけになる可能性が出てきた。

 中国が今回、ドイツと共同で生命科学実験を行うのも、宇宙の“独占”に対する国際社会の懸念に配慮したものだろう。

 日本は宇宙開発に関する長期的な戦略が定まっていない。

 宇宙開発を加速する強大な中国に対し、日本は米国などと連携して、安全保障上の警戒を強めなければならない。

2011年11月4日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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