HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 19818 Content-Type: text/html ETag: "79c271-47ff-ecca9800" Cache-Control: max-age=5 Expires: Fri, 04 Nov 2011 00:21:42 GMT Date: Fri, 04 Nov 2011 00:21:37 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2011年11月4日(金)付

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 ギリシャのユーロ圏入りは、11年前の欧州連合(EU)首脳会議で認められた。それを伝える本紙記事の一節である。「ギリシャの参加で、EUはユーロの価値を維持するための構造改革を一層迫られよう」▼己の筆ながら、硬い上にまだるっこい。はっきり時期尚早と書けばよかった。ちなみに同僚の関連記事は「背伸びした分、しわ寄せを被った国民の不満も強く、ギリシャ政府は内政上難しいかじ取りを迫られそうだ」と、今日の事態をほぼ正確に見通していた▼ちゃぶ台返し、とでも呼ぼうか。欧州危機をめぐるギリシャ首相の決断である。EUの支援と引き換えに緊縮財政を受け入れたはずが、ユーロ圏にとどまる覚悟を国民投票で問う、と口にした。痛みを甘受するよう促す、政治的な賭けらしい▼各国が国内世論をなだめ、銀行に頭を下げてまとめた支援策だ。日米中などの主要国がそれを「裏書」しようかという時に、合意のガラス細工を載せたお膳を当事者がひっくり返した▼欧州がしびれた国民投票といえば、フランスを思い出す。小差で通貨統合を容認したり、欧州憲法を拒否したり、そのたびに金融市場が荒れた。政治が絡む統合のくねり道は、経済の合理性だけでは説明しがたい▼ギリシャでは首相が政権を投げ出すとの観測もあり、さらなる混迷は必至。じれる市場をよそに、デモやストも続こう。ヨーロッパ文明の故郷やあわれ。ちゃぶ台返しの次は、世界経済というワレモノを頭に載せた綱渡りとなる。

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