HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 03 Nov 2011 00:21:37 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:2号機「臨界」 情報開示さらに徹底を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

2号機「臨界」 情報開示さらに徹底を

 福島第一原発の2号機で核分裂が連続する「臨界」が起きた可能性が濃厚だ。東京電力や政府の見通しの甘さの証しといえる。今回の事態を軽く見ず、詳しい情報の開示をさらに徹底すべきである。

 メルトダウン(炉心溶融)した2号機の核燃料がどんな状態なのか、実は誰も分からない。溶け出した核燃料が、原子炉の圧力容器や格納容器の底に堆積しているとみられている。そこに大量の水を注ぎ込んでいるのは、核燃料を冷やし、安定させるためだ。

 ところが、格納容器内の気体の状態を調べる装置から、キセノン133と同135と推定される放射性物質が検出された。自然界に存在せず、核分裂に伴って生成される物質だ。

 しかも、半減期はキセノン135の場合だと、約九時間である。つまり核分裂反応が連鎖的に続く「臨界」が局所的に起きた可能性が高いとして、東電は核分裂を抑えるホウ酸水を注入したのだ。

 最悪のシナリオを描けば、冷却水が沸騰したり、核燃料が露出したりすると、破損した原子炉から外部に大量の放射性物質がばらまかれる恐れが出てくる。

 経済産業省原子力安全・保安院は「大規模な臨界が起きる可能性はほとんどない」「全体として安定した状態だ」とコメントしているが、本当に信用できるのか。実はキセノン131は八月中旬にも検出されていたが、「原発事故当時のものだ」と軽視していたのだ。今回の結果は、原子炉がいまだ極めて不安定な状態にあることを示すものだといってよい。

 まず取り組むべきことは、原発周辺に住んでいた人々に事態を丁寧に説明することだ。緊急時避難準備区域が解除されてから、自宅に帰還している住民たちがいる。原発に不安定な疑いが出た段階で、早めに手を打たないと、再び被ばくを広げる結果を招きかねない。日本のみならず、全世界が注視している問題でもある。

 原発の循環注水冷却システムが万全かどうか再点検も必要になる。水素爆発を起こした1号機や3号機でも「臨界」が起きている可能性も否定できず、さらに精緻な調査が求められよう。

 原子炉を年内に「冷温停止状態」にするという工程表は、もはや信頼性を失ったも同然である。「状態」というあいまいな用語で冷温停止を宣言しても、全国の原発再稼働ありきを前提にした“見切り発車”だと誰もが見破る。

 

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