HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 02 Nov 2011 22:21:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:玄海原発再開 不信はまた深まった:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

玄海原発再開 不信はまた深まった

 九州電力という会社は、よほど世情にうといのか、それとも聞く耳を持たぬのか。人為ミスは機械の故障以上に恐ろしい。なのに拙速な再稼働。原発に対する不安と不信はまた一層深まった。

 九州電力は、定期検査で運転停止中の玄海原発2、3号機の再稼働をめぐり、第三者を装った社員らが再稼働の希望を寄せた「やらせメール」問題で、「原発再開のためなら何でもするのか」と指弾を受けたばかりである。

 その後、この問題について自ら設置した第三者委員会と、佐賀県知事の関与をめぐって対立したが、最終報告書の再提出にも応じていない。経営トップの進退問題も、うやむやにしたままだ。

 その上、今度は検査ルールのすき間をつくような、4号機の強引な再稼働である。

 4号機の自動停止は先月四日。運転中の部品交換作業の手順に誤りがあったため、異常を検知した発電タービンが止まり、それを受けて原子炉も停止した。運転中の作業を考慮に入れていなかった手順書の不備が原因だった。

 今回は幸い大事には至らなかったが、人為的なミスこそ恐ろしい。どんなに安全に設計された機械も、人がその操作や扱いを誤れば、致命的な事態を引き起こす。

 今回の自動停止は、結果が出るまで数カ月間の停止を余儀なくされるストレステスト(耐性評価)の対象外ではあるだろう。だが、人為的ミス、あるいは手順書の不備といった初歩的ミスを軽く見るかのように再稼働を急ぐ様子は、経済産業省や地元首長らの動向も含めて、市民感覚とは、かけ離れたものといわざるをえない。

 政府は一日、九電管内にこの冬、前年比5%以上の節電を求めることを決めた。それに呼応するかのような再稼働の強行は、国民の不安より政府の意向、安全よりも経営の安定を優先させる消費者不在の企業風土をあらわにしてはいないだろうか。

 4号機は、来月すぐに定期検査に入る。引き続き停止させたまま、機械だけでなく手順書を隅々まで点検し、現場の作業員から本社の管理部門に至るまで、ミス防止の再教育に十分な時間を費やすのが筋ではないか。

 そして、その経過と結果を地元首長だけでなく、国民全体に正しく説明すべきだった。これでは、原発だけでなく、この国のエネルギー行政に対する不信がますます募るだけだ。

 

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