HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 01 Nov 2011 23:22:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:復興庁法案 霞が関の焼け太り困る:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

復興庁法案 霞が関の焼け太り困る

 復興庁設置法案が閣議決定された。東日本大震災の復興施策の調整が仕事で、実施は従来通り各省が担う。これで迅速な復興ができるのか。霞が関の組織だけが肥大化する「焼け太り」は困る。

 法案によると、復興庁の長は首相が務め、その下に事務を統括する復興相、副大臣、三人の政務官、事務次官を置く。本庁を東京に、盛岡、仙台、福島三市に出先機関の「復興局」を設置する。

 野田内閣は今国会での成立を目指し、本年度内、早ければ震災から一年となる来年三月十一日までに発足させる。設置期限は震災十年後の二〇二一年三月末までだ。

 復興は本来、被災地の市町村が主役となり、地域住民の意向を最大限くみ取って進めるべきものだろう。そのためには、国が持つ権限も財源も、地方に大胆に移譲する必要があった。今回、そこまで踏み込めなかったのは残念だ。

 野田佳彦首相は所信表明演説で復興庁には「霞が関の縦割りを排する強い調整・実施権限を持たせ」た、と述べた。

 しかし、法案では復興庁の権限は、国の復興方針の企画立案と各省が行う復興施策の総合調整、被災自治体への助言、復興特別区の認定、復興交付金の配分にとどまる。復興・復旧のための公共事業は、従来通り国土交通省や農林水産省など既存の役所が担う。

 六月に成立した復興基本法には復興庁設置の基本方針として、復興施策の実施までを担うと明記されていたはずだ。

 骨抜きの背景に、各省の抵抗があったであろうことは想像に難くない。既存の役所が権限を手放さないまま、新しい役所をつくるのは、官僚の焼け太りではないか。

 政府は復興庁を「各省より一段高い位置付け」と説明する。

 確かに、復興相の調整機能を高めるため、他閣僚への勧告権を与え、勧告が実行されない場合は首相の指揮監督を求める権限も持たせてはいるが、霞が関の抵抗を押し返せるかどうかは未知数だ。

 せめてもの救いは復興局に一カ所ですべての手続きが済むワンストップ機能を持たせることだ。縦割り行政を排除し、窓口のたらい回しをなくす狙いという。

 どこまで機能するかは分からないが、ワンストップ機能を縦割り打破の突破口にして、復旧・復興を加速させてほしい。さもなければ、行政改革や地方分権に逆行して新たな役所をつくり、閣僚や事務次官を増員する意味はない。

 

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