HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 01 Nov 2011 21:21:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:円売り介入 もっとマネーを増やせ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

円売り介入 もっとマネーを増やせ

 政府・日銀が約三カ月ぶりに円売り介入し、円相場が急落した。無策よりはましだが、介入だけで円高は修正できない。日銀は小手先の対応ではなく、もっと本格的な金融緩和に踏み出すべきだ。

 最近の円相場は断続的に一ドル=七五円台をつけて、為替市場では七五円の大台突破も「時間の問題」とみられていた。円高を受けて株式市場も輸出製造業関連株を中心に売りが続いていた。

 相場を放置すれば「日本は円高容認」とみられる懸念もある。欧米経済に不透明感が漂う中、円高が景気に打撃であるのは言うまでもない。週明けのタイミングで政府が円売り介入に踏み切ったのは適切である。

 とはいえ、世界の取引規模に比べれば介入額は微々たるものにすぎず、効果は限定的だ。しかも今回は日本の単独介入にとどまり、欧米の当局は静観している。

 目先は便乗売りも出て円安に動いたとしても、一段落すれば再び円高に戻る公算が大きい。本気で円高を修正しようとするなら、日銀が本格的な金融緩和を断行しなければならない。

 日銀は通常、政府が円売り介入で日銀に指示して市場に放出させた円資金を後日、国債の売りオペなどで吸収している。「吸収しなければ政府が金融緩和する形になるからだ」というのが日銀の言い分だが、それではせっかくの介入効果が消えてしまう。

 ここは日銀も政府と足並みをそろえるべきだ。具体的には日銀が介入で市場に投入した円資金を吸収せず、そのまま放置すればいい(非不胎化介入)。

 日銀は昨年十月、新たな緩和策として資産買い入れ基金という金融資産の買い入れ枠を総額三十五兆円で創設した。その後、先週の決定を含めて段階的に増やし、現在の枠は五十五兆円に達する。

 ところが、肝心のマネタリーベース(日銀券と貨幣、日銀当座預金の合計)は一年前に比べて二十兆円弱の増加にとどまっている。つまり、実際には買い入れ枠の半分以下しかマネーを増やしていない。これでは基金は単なる「見せ金」のようなものだ。

 二〇〇八年の金融危機以後、欧米の中央銀行は本格的な緩和に動く一方、日銀の対応は腰が引けていた。その結果、ドルやユーロに比べて円が希少になった。それが円高とデフレが続く真の理由である。市中に供給するマネーを増やすために何ができるか。日銀はそこに知恵を絞る必要がある。

 

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