HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 01 Nov 2011 21:22:47 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:一つ一つ兵士の顔が違う。生き生きとして今にも動きだしそうだ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 一つ一つ兵士の顔が違う。生き生きとして今にも動きだしそうだ。秦始皇帝(紀元前二五九〜同二一〇年)の陵墓の近くで三十七年前に見つかった「兵馬俑(へいばよう)」を目にする機会があり、その異様な迫力に息をのんだ▼「俑」とは主君に殉ずる代わりに埋葬される土人形。中国・西安市郊外で井戸を掘っていた農民が偶然破片を見つけた。二十世紀で「最大の発見」をした農民は、博物館の土産売り場でサインペンを走らせていた▼ひしめくように並ぶ無数の兵士や馬に圧倒されていると、今春公開されたドキュメンタリー映画『100、000年後の安全』を思い出した。地下五百メートルまで岩盤を掘削して建設されるフィンランドの高レベル放射性廃棄物の最終処分場が舞台だ▼原発から出た廃棄物の放射線量が、無害になるとされるのは約十万年後。その間、未来の人類をどうやって危険から守るのか、専門家たちが真剣に議論する姿が印象的だった▼始皇帝の死後二千二百年を経て、農民が兵馬俑を掘り当てたように、数万年後の人類が偶然、処分場の扉を開き、被ばくしてしまう。そんな恐ろしい場面が頭をよぎる▼世界の人口がきのう、七十億人になった。国連は生まれた子どもに「七十億人目の赤ちゃん」の認定証を発行するという。未来の子どもたちに何を残すのか。少なくとも放射能で汚れた原発の廃棄物ではない。

 

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