HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 31 Oct 2011 00:21:43 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:幕末の鳥羽伏見の戦いで、情勢が一変したのは、薩摩・長州藩を…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 幕末の鳥羽伏見の戦いで、情勢が一変したのは、薩摩・長州藩を主力とする西軍が、淀川の岸辺に三本の「錦の御旗」を翻らせた時だ。天皇の旗を見て、寝返る東軍藩兵が続出した▼「一騎になるまで退くな」と命じていた総大将の徳川慶喜も動揺して、「朝敵にはなりたくない」と江戸に帰ると言いだした。効果はてきめんで西軍は「官軍」になった▼掲げる際には朝廷の許可を得たようだが、作家の半藤一利さんは『名言で楽しむ日本史』で、大久保利通が愛人に調達させた大和錦と紅白の緞子(どんす)を使い、急いでつくらせた偽物だったと書いている▼「のちの世になっても、この錦の御旗すなわち大義名分ないし正義ッ面というやつは、おうおうニセものである場合が多い。心すべきことのようである」と半藤さんは戒めている▼錦の御旗はスローガンとして叫ばれる時代だ。環太平洋連携協定(TPP)の推進派は「開国しなければ取り残される」と訴え、慎重派は「農業が壊滅する」と叫ぶ。どちらの御旗がニセものなのか、メディアにはさまざまな角度から情報を提供する責任があろう▼いま言えるのは来月中旬のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までに参加の是非を決めるという内閣の方針は拙速にすぎるということだ。優先されるのは、米国の顔色をうかがうことではない。国内の議論を深めることである。

 

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