HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 28 Oct 2011 22:22:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:国家戦略会議 法的根拠なぜ持たせぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

国家戦略会議 法的根拠なぜ持たせぬ

 重要政策の司令塔機能を担うために設置された「国家戦略会議」がきょう初会合を開く。しかし、法律の裏付けのない会議に日本の将来像を描き、実現に移す力量があるのか、何とも心もとない。

 会議は野田佳彦首相が議長、藤村修官房長官と古川元久国家戦略担当相が副議長を務め、内閣から総務相、外相、財務相、経済産業相、民間から国際協力機構(JICA)の緒方貞子理事長、米倉弘昌経団連会長、古賀伸明連合会長ら六人が参加する。

 大臣は役所の代弁者とならず、民間の参加者は自らの既得権にとらわれることなく、大所高所に立った議論を、まずは期待したい。

 気掛かりなのは、役割や権限、責任の範囲など、会議の位置付けが依然、不明確なことだ。

 そもそも民主党は二〇〇九年衆院選マニフェストで、官民の優秀な人材を集めて「国家戦略局」を設け、新しい国家像や予算の骨格をつくると約束したが、それがかなわぬと「国家戦略室」を首相決定でつくり、対応してきた。

 戦略会議も設置根拠は閣議決定だ。なぜ法律に基づく会議をつくらないのか、理解ができない。

 二〇〇一年、中央省庁再編に伴い内閣府設置法で設けられた経済財政諮問会議を休眠状態にしておきながら、同様のことを法律に基づかずにやろうとする。これは国会軽視も甚だしいのではないか。

 まずは首相に戦略会議と諮問会議の違いは何か、なぜ会議を新設しないと新時代の国家像や予算の骨格が描けないのかただしたい。

 諮問会議は小泉純一郎首相時代が最も記憶に残る。新自由主義的な経済・財政政策を推進し、格差拡大を招いたという指摘はあるにせよ、官邸主導の政策決定の一つの在り方を示した。

 民主党政権が、小泉色は避けたいという理由だけで戦略会議をつくったのなら筋違いだ。

 その上で首相には、日本をどんな国にしたいのか、その実現の道筋をどう描いているのかを具体的に語ってもらいたい。それは議論を進める上で、たたき台となる。

 初会合では東日本大震災後の状況を踏まえ、「日本再生戦略」について議論を始めるという。

 忘れてならないのは、政策を決断して実現に移すのは国民の負託を受けた政治家の仕事ということだ。官僚機構や民間に知恵を借りるのはよいが、母屋を乗っ取られて、官僚主導や財界主導になってしまっては本末転倒である。

 

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