HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 28 Oct 2011 21:21:37 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:欧州危機 なお火種は残っている:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

欧州危機 なお火種は残っている

 欧州連合(EU)が首脳会議で債務・金融危機に対する包括的な対応策を決めた。正しい一歩だが、問題は実行力だ。ギリシャ同様、財政赤字を抱えるイタリアやスペインからも目を離せない。

 首脳会議は十時間に及ぶ夜を徹した議論の末、ギリシャの債務五割削減と欧州金融安定化基金(EFSF)の拡充、主要銀行の資本増強という三本柱で合意した。

 世界の金融市場が会議の行方に注目する中、包括策のとりまとめに失敗すれば、深刻な金融危機の再来も懸念される重要な局面だった。

 三本柱はどれか一つ欠けても機能しない。とくにギリシャの債務削減は債務不履行(デフォルト)と紙一重で難航したが、合意にこぎつけたのは評価したい。

 とはいえ、問題はこの先だ。

 まず主要銀行については各国当局と欧州銀行監督局(EBA)が銀行に対する監督を強め、二〇一二年六月末までに中核的自己資本比率を9%にまで高める。

 それには、銀行が資産査定を厳格に実施するかどうかが最初の鍵になる。日本が経験したように、銀行は分子の資本を増やすのではなく、分母の資産を減らすために貸しはがしや貸し渋りに動かないとも限らない。そうなると低迷している景気を一層冷やす。

 景気悪化は各国の税収減を招く。せっかくギリシャの債務を削減したと思ったら、今度はイタリアやスペインなど大国の財政悪化を促す可能性もある。そうなると金融危機と債務危機が「いたちごっこ」の関係に陥ってしまう。

 それでなくても、ギリシャの債務削減は銀行に負担を強いる。五割削減を受け入れて自己資本で損失を埋め合わせたうえ、資本増強するのはかなりの大仕事だ。

 貸し渋りを招かず、銀行の資本増強を図るには自助努力はもちろんだが、各国とEFSFの強力な支援が不可欠である。

 EFSFの拡充と合わせて、特別目的投資機関(SPIV)を作って国際通貨基金(IMF)などから資金を調達する仕組みも決めた。欧州は中国など新興国の協力も求める方針だ。ここでは日本も協力できるはずだ。

 欧州危機のあおりを受けて日本経済には不透明感が強まってきた。折から円高も進んでいる。日銀は資産を買い入れる基金を五兆円増額した。単なる見せ金のような基金を積み上げるだけでなく、実際にマネタリーベースを増やす金融緩和が必要である。

 

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