HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49151 Content-Type: text/html ETag: "15daae-16aa-4b04a4da5560b" Expires: Thu, 27 Oct 2011 21:22:12 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 27 Oct 2011 21:22:12 GMT Connection: close 食と放射能 新基準を不安軽減に生かそう : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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食と放射能 新基準を不安軽減に生かそう(10月28日付・読売社説)

 食品の放射能汚染について、政府の食品安全委員会が、健康への影響を判断するための、初の基準をまとめた。

 新基準は、本格的な規制値の策定を目指す厚生労働省の諮問に対する答申だ。

 自然界の放射線とは別の被曝(ひばく)線量が、食品で生涯100ミリ・シーベルトを超えると健康に影響する可能性があるとした。個別の食品中の放射性物質の規制値は、これを考慮して決めるよう求めている。

 厚生労働省は今後、具体的な検討を始める。作業を急ぎ、不安の軽減につなげてもらいたい。

 東日本大震災による原子力発電所の事故以来、食の安全への不安は一向におさまらない。

 食品の規制値が事故直後、十分な議論もなく、海外の基準を参考に決めた暫定値のままだったことが、原因の一つだろう。

 暫定値は、食品による被曝累積線量を放射性セシウムだけで「年間5ミリ・シーベルト以下」として算出している。ここから食品ごとに、事故による放射性セシウムなどの許容量を示している。

 答申は、算出の根拠となる被曝線量を「生涯の被曝線量で100ミリ・シーベルト」とした。食品の規制値は原則、生涯の摂取量で決めるためだ。食品ごとの規制値は、今より厳しくなる見通しだ。

 答申はまた、十分にデータはないとしたうえで、子供は放射線の影響を受けやすい可能性があるとも指摘している。

 厚労省による具体的な規制値作りに際しては、適切な規制値となるよう、こうした事情も考慮する必要がある。

 今夏、牛肉などで一部汚染肉が出荷されるなど、汚染のチェック体制に不備もあった。

 現在流通している食品のほとんどは、放射能汚染はないことが確認されている。自治体や流通関係者による食品検査体制の構築が進んでいるためだ。消費者に安心してもらえるよう、政府は、この動きを後押しすべきである。

 同時に、政府は、確かな情報を徹底して分かりやすく提供することを忘れてはならない。

 わずかに放射性物質が検出されたとしても、もともと、どんな食品にも、自然界にある放射性物質が1キロ・グラム当たり数十ベクレルから数千ベクレル含まれている。放射性セシウムが数十ベクレル程度検出されても、影響はほとんどないだろう。

 国産の野菜は子供に食べさせないという母親もいる。一部被災地では風評被害がやまない。冷静に判断できる材料を増やしたい。

2011年10月28日01時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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