住宅地に近い「町会広場」の隅に、そのホットスポットはあった。常磐線北柏駅から十分ほど歩くと、「立ち入り禁止」「除染中」の張り紙。その向こうに、土を覆うブルーシートが見える▼独自に放射線量を測っていた市民の通報がきっかけだった。土の中から検出された数値は、最大で毎時五七・五マイクロシーベルト。限定された場所とはいえ、福島第一原発から半径二十キロ圏内の警戒区域並みの高い数値だ▼原発事故との関連を疑う声もあったが、文部科学省は福島第一原発から出た放射性セシウムを含む雨水が、壊れた側溝から漏れ出し、土壌に染み込んで蓄積した可能性が高いとの調査結果を発表した▼原発から二百キロも離れながら、ここまで高濃度の汚染地があるのは衝撃だ。近くに住む子育て世代は不安だと思う。通学路や子どもたちの遊び場などの放射線量をきめ細かく計測し、健康被害を防いでほしいと願うばかりだ▼きょうは「原子力の日」。茨城県東海村の動力試験炉で四十八年前、初めて発電に成功した日にちなむ。昨年までは、電力会社などがシンポジウムなどのイベントを開催。動員されたタレントや文化人が「安全神話」の構築に一役買っていた▼大事故を起こした原発が、どれだけ多くの人々を災厄に巻き込むのか。今後の原子力の日は、根拠のない安全神話をつくってきたことを猛省する日にしたい。