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10月23日付 編集手帳

 主人公は財産家のアール氏から、酷寒の北国に建てたという新居に招かれた。凍えながらたどり着くと、そこは大きなドームで、内部に熱帯が再現されている。一転、汗を拭いつつ屋敷に入ると、中は冷房が強力に利いていた◆再び震えながら通された部屋は暖炉が赤々と燃えている。また暑くなってきた。冷えたビールが注がれる。うまい。「いい気分でしょう」と得意げなアール氏。主人公もうなずいた◆星新一のショートショート、〈最高のぜいたく〉のあらすじである。アール氏らの馬鹿馬鹿しい“ぜいたく”を笑えない。これまで似たようなことをしてきた◆今年は明日が二十四節気の〈霜降〉だ。ようやく残暑の時期が過ぎたかと思えば、もう肌寒い日が交じり、暑からず寒からずの程よい日のなんと貴重なことか――と気づく。今更ながら◆冬の足音が聞こえる中、土鍋の売れ行きが好調だそうだ。節電を兼ねて家族や友人と鍋を囲むことで、身も心も温まろうという人が増えているらしい。被災地でも新酒の仕込みが進んでいる。熱燗(あつかん)でやれば言う事なし。本当の「最高のぜいたく」とはこれだろう。

2011年10月23日01時08分  読売新聞)

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