HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 23 Oct 2011 03:21:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:カダフィ氏死亡 “独裁”の時代と決別を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

カダフィ氏死亡 “独裁”の時代と決別を

 リビアの最高指導者だったカダフィ大佐が死亡した。アラブの独裁者たちの相次ぐ転落は、民衆の時代の到来を告げるかのようでもある。この歴史のうねりを本物にするよう国際社会も支えたい。

 カダフィという人物は、現代中東史の明と暗とを極端な形で見せてきた指導者だった。

 若き日、隣国エジプトの青年将校ナセルらの革命を知る。演説をラジオで聞いて、強烈な感化を受け、一九六九年、国王の外遊中に無血クーデターを成功させた。当時のアラブ民族主義が燃えさかる中では、もちろん、喝采を浴びた。

 問題はその後だった。

 ナセル率いるエジプトへ、米ソが競い合って武器や軍事将校を送り込んだように、カダフィのリビアも欧州勢などの武器の大きな売り込み先になった。ソ連が多くを売り込んだ。リビアには巨額の石油マネーがある。

 似たような構図は、古くは革命前のイラン、サダム・フセイン大統領が率いたイラクなどがある。石油代を払う代わりに戦車や戦闘機、ミサイルを売りつけるのである。その場合、商売の相手は気前のよい独裁者の方がもちろん都合がよい。武器輸出国はぜいたくも教えてくれる。

 アラブの独裁国家を太らせてきたのは独裁者自身ではあるが、米欧などの大国にもその責任の一端はあるにちがいない。少なくとも見て見ぬふりをしてきたとはいえるだろう。イスラム教組織の政治行動をうまく抑えてもくれた。

 放置されたのが民衆だった。

 独裁を支える手段は三つある。反体制を唱える者を片端からとらえて拷問にかける秘密警察、少数者だけで富を独占する強固な仕組み、そしてそれらを隠蔽(いんぺい)するためのプロパガンダだ。そのすべての被害者が貧しき民衆だった。

 新生リビアの試練が始まる。病んだ国家の再建には病巣を除かねばならない。そのためにはカダフィ政権の暗部を調べ直す必要がある。正義と公平の実現はそこに始まり、米欧などのゆがんだ介入はやっと排除されるだろう。その意味では大佐の死亡で「証言」が失われたのは残念だが、独裁の解明こそが新しい国の未来を切り開いてくれるのである。

 独裁の時代を今こそ終わらせよう。民衆の時代は無論たやすくはやって来ないが、暗黒の過去を繰り返さないため、世界も日本もそういう歴史的な位置からリビアや中東を見るべきである。

 

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