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10月21日付 編集手帳

 北原白秋は歌っている。〈薔薇(バラ)ノ木ニ/薔薇ノ花サク。/ナニゴトノ不思議ナケレド。〉(『薔薇二曲』)。その詩をもじるなら、「新聞ニ広告ノ載ル。/ナニゴトノ不思議ナケレド」である◆不思議アリ、きのうの本紙夕刊(東京本社版)に驚かれた方は多かろう。広告がない。あるべき場所は空欄になっている。「きょう、10月20日は、新聞広告の日です」といった文章が小さな活字で載ってはいるのだが、ちょっと見には真っ白である◆寒々として、さみしく、痛々しく――広告なき紙面の印象をひと言では尽くしがたい◆思えばあの震災では、窓にともる明かりであったり、傾いていない家であったり、蛇口をひねればほとばしる水であったり、“ナニゴトノ不思議”なく咲いていた薔薇が無残にもむしり取られた。あるべきものが、あるべき場所にある。普段は気に留めぬ日常の風景がいかにありがたいものかを、小社広告局の趣向は無言のうちに語っている◆もしも…「新聞広告の日」のように「新聞1面コラムの日」があったならば…小欄を空欄にして…怠け者のバチ当たりな妄想は書かないでおく。

2011年10月21日01時32分  読売新聞)

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