HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 19 Oct 2011 23:21:43 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:社会保障改革 ほころびは確実に繕え:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

社会保障改革 ほころびは確実に繕え

 政府の社会保障と税の一体改革に盛り込まれた制度改革の具体的な議論が、厚生労働省で始まった。年金、医療を中心に多岐にわたるが、必要な制度の改善は確実に実行してほしい。

 六月に政府が決めた社会保障改革案は、民主党の新年金制度導入が先送りされ、現行制度のほころびを繕う改革でしかない。

 ただ、社会状況に合わなくなった制度の改善は進めるべきだ。

 改革の目的は、給付と負担の世代間の公平性を高め、弱者支援を充実させ、全世代で支え合える制度に近づけることである。

 社会保障は本来、どの世代も受けられなければならない。だが、社会保障給付費の約七割は高齢者向けだ。子育て分野など現役・将来世代へは約4%の配分にとどまる。世代間の格差是正は重要な視点である。

 子育て支援に加え、非正規労働で結婚・出産が難しい若者の雇用対策も課題になる。非正規への厚生年金・健康保険適用拡大策は、強く求められている。

 弱者支援には、低所得者への年金加算、重病で高額医療費がかかった人への支援などが議論されている。より困った人を救う仕組みは充実を図るべきだ。

 その上で負担の分かち合いも大切な視点だ。日本は世界最速で超高齢社会を迎えている。団塊世代も支えられる側になる。一方、少子化で制度の支え手が減っている。

 経済情勢から現役世代も収入が減り、医療や年金などの保険料負担が重くのしかかっている。給付抑制など痛みを求めることもある。高収入高齢者の年金減額、医療費の窓口負担とは別に受診ごとに百円を払う定額負担などを検討している。

 もうひとつ大事な視点がある。新たな負担を納得してもらうには、だれがどれくらいの負担をして給付を受けているか、個人ごとに明確にする必要がある。

 例えば年金では、会社員の夫と専業主婦の夫婦は、世帯で保険料を負担し受給している。夫婦それぞれの負担と給付を明らかにする。世帯から個人単位に制度を整理することも課題だろう。

 負担が増える側からは反発も出ている。年金の六十八〜七十歳への支給開始年齢の引き上げ議論も始まったが、定年後の働く環境整備が不十分など改善策には問題も多い。痛みを伴う改革を実行する責任が政府・民主党にはある。逃げずに取り組むべきだ。

 

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