HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50571 Content-Type: text/html ETag: "15da92-1cfa-4af9549cd3b57" Expires: Wed, 19 Oct 2011 02:21:40 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 19 Oct 2011 02:21:40 GMT Connection: close TPP 「開国」へ早期参加を表明せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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TPP 「開国」へ早期参加を表明せよ(10月19日付・読売社説)

 ◆成長のエンジンに活用したい◆

 少子高齢化で内需が縮小する日本は、積極的に市場を開放し、アジアなど海外の活力を取り込んで経済成長を実現する必要がある。

 通商政策の出遅れを挽回し、米国や韓国に()して自由貿易を推進しないと、展望を描けない。

 米国など9か国は、環太平洋経済連携協定(TPP)の合意案のたたき台をまとめ、19日からペルーで9回目の交渉を行う。

 米オバマ政権は、11月中旬にハワイで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)での大枠合意を目指している。TPP交渉は大詰めを迎えたと言える。

 政府はTPPへの参加を早期に決断すべきだ。自由で開かれた通商の仕組みを作っていく一員になることが重要なのである。

 TPPは、物品の関税撤廃だけでなく、サービス、政府調達、知的財産、環境など21分野に及ぶ。アジア太平洋地域の新たな貿易・投資ルールとなろう。

 TPPを巡って、野田首相は17日のインタビューで、「アジア太平洋地域はこれからの成長のエンジンになる。高いレベルの経済連携は日本にプラスだ。早く結論を出す」と言明した。前向きな姿勢を評価したい。

 ◆民主党内の意見集約を◆

 日本が早期に交渉に加われば、重要品目の扱いや貿易・投資について、日本に有利なルール作りを主張できる。参加表明が遅れた場合、交渉参加も不透明になる。交渉決着後では、不利なルールを受け入れるしかない。

 来夏まで交渉が継続するとの観測もあるが、だからと言って、悠長に構えることは禁物だ。

 韓国は米欧との自由貿易協定(FTA)を早々にまとめた。日本の決断が遅くなるほど、さらに韓国に先行され、海外市場を奪われる事態が現実味を帯びる。

 超円高や電力不足に直面した製造業では、生産拠点を海外に移転する動きが相次ぎ、空洞化が加速することも懸念される。

 TPP参加決断のカギを握るのは、民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT)の議論だ。首相が正式に参加表明できるよう、意見集約を急がねばならない。

 ところが、民主党PTの会合には反対派の議員が多数出席している。最大の焦点は、農業分野の市場開放に抵抗する動きである。

 ◆大胆な農業改革がカギ◆

 首相は、日本農業を再生するため、農業強化策の基本方針を月内に策定する考えを示した。

 零細農家が多い現状を改革するには、担い手農家を中心に、農地の大規模化が肝要だ。バラマキ方式である農家の戸別所得補償制度を抜本的に修正し、競争力強化策を打ち出すべきだ。

 反対派に対して明確な改革案を示し、TPP参加の説得材料に活用する努力が要る。

 情報不足や誤解から、農業分野以外でも、TPPの悪影響を心配する声が出ている。

 医療分野では、営利企業の病院経営への参入や、公的保険が適用される保険医療と保険外を併用する「混合診療」の全面解禁が要求されるとの見方があるが、実際は交渉の対象外という。

 単純労働者の受け入れや、輸入食品の安全基準の緩和も、現状では議論されていないにもかかわらず、TPP反対派が問題点に挙げている。

 政府は正確な情報を把握し、無用な不安が広がらないよう、丁寧な説明を続ける必要がある。

 TPPの利点をもっとアピールする努力も欠かせない。製造業やサービス産業などは事業拡大のチャンスが広がる。中小企業による輸出先開拓も有望だ。

 米国が主導するTPPへの参加は、日米同盟を深化させ、アジア太平洋地域の安定につながる。膨張する中国をけん制することにもなろう。

 ◆自公両党も傍観するな◆

 一方、自民党と公明党もTPP論議を傍観せず、積極的に取り組む姿勢が問われる。

 日本の一層の市場開放や、農業の競争力強化は、かつての自公政権が先送りした懸案だ。日本の将来に向け、どの政権も避けて通れない政策課題でもある。

 自民党の谷垣総裁が「野党として意見を集約させる役割を果たしたい」と述べた。自民党もTPP参加容認の方向で、早急に党内議論をまとめてもらいたい。

 政府がTPP参加を決め、交渉が合意に達すれば、いずれ関連法案の国会審議が必要になる。政府・与党と自公両党が、今から議論を深め、足並みをそろえることが求められよう。

2011年10月19日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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