HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49229 Content-Type: text/html ETag: "2f567b-167b-4af3086966881" Expires: Thu, 13 Oct 2011 21:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 13 Oct 2011 21:21:10 GMT Connection: close 進まぬ原発賠償 被害者本位で手続きの改善を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


現在位置は
です

本文です

進まぬ原発賠償 被害者本位で手続きの改善を(10月14日付・読売社説)

 東京電力福島第一原子力発電所事故の損害賠償の手続きが、大幅に遅れている。

 東電が1か月前から配布を始めた約7万の被害世帯向けの請求書類のうち、書き込みを終えて東電に戻ってきたのは1割強にとどまる。

 請求書類が分厚いうえ、内容も難解なことが原因だろう。

 東電は請求にあたっての必要事項を確認しやすくする「簡単ガイド」を作成し、今週から配布を始めた。避難場所や領収書の有無など7項目の質問に答える形式で、わずか4ページと簡略だ。

 東電は約60ページの請求書は変更しないが、ガイドに記入後、電話などで相談してもらえれば、1時間ほどで請求書を完成させることができるとしている。その際、大事なのは懇切丁寧な説明である。

 東電は積極的に被害者をサポートし、請求手続きのスピードアップに全力を挙げてもらいたい。

 避難中に自宅が空き巣に入られた損害はどうなるか、家族バラバラに避難して増えた生活費は補償してもらえるか……。被害者は多くの疑問に頭を悩ませている。

 被害者を集めての説明会はこれまで50回開催された。今後も頻繁にこうした場を設けるべきだ。

 ガイドの配布で問い合わせは増えることが予想される。コールセンターの回線増設や、相談窓口の人員充実も課題となろう。

 領収書を紛失した被害者は少なくない。東電は、領収書がなくても賠償の標準額を支払うことにした。個別の事情をよく聞き、きめ細かく対応してほしい。

 被害者の東電に対する不信感も賠償の進展を妨げている。

 東電が示した被害者との合意書の見本には、賠償金の受け取り後は「異議・追加の請求を申し立てることはありません」と、被害者が誓約する表現があった。

 実際の合意書では削除したが、被害者は請求漏れへの不安を募らせ、手続きは一層遅滞した。

 福島県双葉町の避難住民は、東電の説明会は信用できないとしてボイコットしている。東電は、被害者の感情を傷つけるような対応を繰り返してはならない。

 事業者向けの賠償にも問題がある。東電は観光業の風評被害による減収のうち、20%分は原発事故以外に起因するとして、賠償額を削減する方針を示した。

 これには、福島など対象4県の観光業者が猛烈に反発している。一方的な一律カットには、大方の理解を得られまい。基準見直しの検討を急ぐ必要がある。

2011年10月14日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です