HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 10 Oct 2011 02:06:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:暴力団排除条例 警察は市民の盾となれ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

暴力団排除条例 警察は市民の盾となれ

 社会を挙げて暴力団を兵糧攻めにする包囲網ができた。締め出すには市民や企業の勇気と結束が肝要だ。だが、仕返しの恐れもある。警察は強固な盾となり、身をていして安全を守り抜くべきだ。

 社会と暴力団との絶縁を目指す暴力団排除条例が十月から東京都と沖縄県で施行された。これですべての都道府県で同様の条例が出そろい、隊列が整った。

 バブル崩壊期の一九九一年にできた暴力団対策法は、暴力団に照準を合わせて資金獲得や勢力拡大を封じ込めるのが狙いだった。条例はそれとは対照的に、市民や企業に暴力団と決別する強い覚悟を求めたのだ。

 もはや警察の問題では済まされない。市民や企業も率先して暴力団とたたかう責任を背負い込んだ。活動を助長し、利益を与える行為は取り締まりの対象になる。

 建設会社が住民の立ち退きを頼んだり、飲食店が用心棒代を渡したりするのは許されない。事務所の内装工事や弁当の配達、名刺の印刷も利益供与とみなされる。

 公共事業から排除し、学校や図書館などの公共施設の近くには事務所を構えさせない。悪質な違反行為には名前を公表する。東京都や愛知県のように懲役や罰金を定めた自治体も目立つ。

 だが、地域には仕組みが分かりづらいと困惑する声が広がっている。暴力団員をどうやって見分けるのか。利益供与にはどんな事例が当たるのか。警察はきめ細かな情報提供を心掛け、ふに落ちるような説明を尽くすべきだ。

 食いぶちが断たれ、身動きが取れなくなる暴力団の凶悪化も気掛かりだ。福岡県では対決姿勢を強めた市民や企業が襲撃されている。報復や嫌がらせを防げないようでは警察の信用が失われ、条例も絵に描いた餅になりかねない。

 子どもへの影響が大きい業界の暴力団追放の取り組みは、優先して後押ししたい。芸能界では暴力団との関わりを認めて島田紳助さんが引退し、意識が高まりつつある。相撲界では野球賭博事件をきっかけに力を入れだした。

 「どうしようもない若い衆をわれわれが引き取ってやっている。つまはじきにしているのは社会の方だ」。かつてそう語った指定暴力団の組長がいた。

 社会を巻き込んだ条例の相次ぐ制定は、警察がこれまでの暴力団壊滅作戦に失敗した証左ともいえる。暴力団へ走る若者がなぜ後を絶たないのか。その根本から問い直す機会にもしたい。

 

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