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天声人語

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2011年10月9日(日)付

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 青い閃(ひらめ)きに打たれる心地よさは同じとみえ、選者も姉妹の投稿を楽しみにしているという。〈今すぐに大人になりたい妹とさなぎのままでいたい私と〉松田梨子(りこ)。〈走るのがおそい私は泳ぐのが苦手な魚と話してみたい〉松田わこ▼富山市の松田姉妹は、朝日歌壇にきらめく幼年歌人の代表格だろう。梨子さん(13)、わこさん(10)は昨年春に初登場、掲載は仲良く30首を超え、はや常連の域である▼よく互いを詠む。〈妹の笑顔の寝顔かわいくて歯磨き中のパパまで呼んだ〉、〈玄関でクルッと回ってスカートをふわっとさせてねえちゃんお出かけ〉。〈妹は新しいブーツ欲しくって勉強をするお手伝いをする〉、すると〈新しいブーツで行ったコンサートきちんと足をそろえて聞いた〉▼歌は姉妹の成長記でもある。〈試着室鏡の中に私より先にセーラー服着た私〉と姉は大人びる。妹は〈ガイドブックとおんなじ抹茶パフェがきて京都を食べた上から順に〉と、おちゃめに我が道をゆく▼姉妹は母由紀子さん(41)と散歩しながら、指を折る代わりに、大きな声と歩数で五七五七七のリズムを体に刻んだという。大地から授かった歌心は、両親との歌集『たんかでさんぽ』(角川書店)にも息づく▼娘を「なでしこ」にしたい向きもあろうが、足の使い道は色々ある。瑞々(みずみず)しい感性と情熱が三十一文字に向かう時、限りある経験や語彙(ごい)はハンディにならない。輝ける童心、恐るべし。大人にまねできない、今が盛りの才能を見守りたい。

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