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2011年10月8日(土)付

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小沢氏会見―「逃げの姿勢」は、なぜ

民主党の小沢一郎元代表が、おととい開いた記者会見には驚いた。こわもてはいつも通りだったが、あらかじめ質問数を制限していた。批判的な報道をしてきた新聞やテレビの記者を遠ざ[記事全文]

ジョブズ氏逝く―世界を2度変えた男

かつて、これほど世界中の人々から、死を惜しまれた企業経営者がいただろうか。アップルの共同創業者で、前最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ジョブズ氏が、56歳で死去した[記事全文]

小沢氏会見―「逃げの姿勢」は、なぜ

 民主党の小沢一郎元代表が、おととい開いた記者会見には驚いた。

 こわもてはいつも通りだったが、あらかじめ質問数を制限していた。批判的な報道をしてきた新聞やテレビの記者を遠ざけて、支持者が多いインターネット向けの記者らを優遇する段取りも用意していた。

 どう見ても「守りの姿勢」であり、来春の無罪を確信し、正面から国民と向き合おうとする政治家の立ち居振る舞いには見えなかった。

 この20年あまり、国政の中心にいる実力者である。世論の反発をものともせず、国会での説明を避け続け、刑事被告人として初公判に臨んだのだ。そのあとで国民に何を語るのか。

 小沢氏に期待し、応援している人も、反感を抱く人も、会見での肉声に注目していたに違いない。

 なのに小沢氏は、法廷で述べた検察批判を再読し、ろくに質問には答えなかった。その代わり、新聞などの世論調査への疑問を口にした。既存の大手メディアの報道が我慢ならないという思いだけは伝わった。

 だが、いま私たちが一番知りたいのは、土地購入に用立てたとされる4億円の原資だ。これほどの巨額が、どこから来たのか。「政治とカネ」の問題として注目している。

 この質問に、小沢氏は「私の金です」と言いつつ、「詳しくは検察に聞いてください」と、はぐらかした。自分の金なら、淡々と出所を語ればいいだけなのに、なぜだろう。

 政治資金収支報告の間違いや不適切な記載については、「警察や検察が捜査すると、議会制民主主義を担保する自由な政治活動を阻害する」などと述べ、捜査機関を批判した。

 なるほど。ならばなおさら、みずから国会で説明し、この問題を立法府の中で解決する努力をしてほしかった。

 国会での説明責任を問われた小沢氏は「君は三権分立をどう考えているの……、司法は独立している。もうちょっと勉強してから質問してください」などと応じた。

 これに対して、記者側が「国会で政治責任を明確にすることは裁判に何らの支障も与えない」「三権分立だからこそ、国会で説明すべきだ」と反論しなかったのが残念でならない。

 改めて、私たちは取材力、質問力を磨いていかなければいけないと自戒する。

 それにしても、である。

 小沢氏の「逃げの姿勢」に、疑問と違和感が募る。

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ジョブズ氏逝く―世界を2度変えた男

 かつて、これほど世界中の人々から、死を惜しまれた企業経営者がいただろうか。

 アップルの共同創業者で、前最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ジョブズ氏が、56歳で死去した。

 「Think different」(発想を変える)

 ジョブズ氏がアップルに復帰し、97年から展開したキャンペーンのコピーである。アインシュタインやガンジーらの映像を使ったCMのナレーションは、こう締めくくられる。「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから」

 それは、まさにジョブズ氏の歩みでもあった。

 ジョブズ氏は創業翌年の77年にアップル2を、84年にはマッキントッシュを発売し、世界的ヒットを飛ばす。そこには、大企業のものだったコンピューターの世界を個人の手にもたらすというカウンターカルチャーの気風が色濃く投影されていた。

 85年に会社を追放された。

 10年余りを経て復帰した後はiMac、iPod、iPhone、iPadと、新たなコンセプトを持つ製品を送り出し、アップルを復活させただけでなく、人々の暮らしに多大な変化をもたらした。ジョブズ氏は少なくとも世界を2度変えた。

 特筆すべきは、そのビジネスモデルだ。「ものづくりではもうからない」と言われる時代にアップルは一貫してソフトとハードを統合した事業を続けた。ジョブズ氏はあらゆる製品で、デザインや使いやすさに徹底的にこだわった。

 そのうえで、自社では工場を持たない。少品種の製品に絞り込みつつ、日本を含む世界中の企業から最適な部材を調達することで、メーカーとして極めて高い収益率を維持した。

 ものづくりを得意としながら収益悪化に苦しむ日本企業は、改めて商品コンセプトの革新性とデザインへの審美眼を学ぶしかあるまい。

 アップルはアップストアのようにソフトを配信する独自のサイトを設け、自社の端末で楽しんでもらう囲い込み型ビジネスで商品の価値を高めてきた。

 今後、テレビをはじめとした家電や自動車、オフィス用品など様々な機器がオープンな形でインターネットに接続する時代が到来する。そのとき、アップルは囲い込み型ビジネスモデルからどう発展していくのか。

 新しい製品を紹介する際の決まり文句だった「それから、もうひとつ」をもはや聞けないのが、残念でならない。

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