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2011年10月7日(金)付

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小沢氏初公判―雄弁の後に残る不審

「法廷で真実を述べる」。そう言って国会での説明を拒んできた民主党元代表・小沢一郎被告の刑事裁判が始まった。約束の場で小沢氏は何を語るか。罪状認否に注目したが、見事な肩す[記事全文]

アフガン10年―粘り強く対話の道を

米国が同時テロへの報復として、アフガニスタンを攻撃してから、7日でちょうど10年になる。7月から米軍の撤退が始まっているが、和平への努力は入り口でつまずいている。それど[記事全文]

小沢氏初公判―雄弁の後に残る不審

 「法廷で真実を述べる」。そう言って国会での説明を拒んできた民主党元代表・小沢一郎被告の刑事裁判が始まった。

 約束の場で小沢氏は何を語るか。罪状認否に注目したが、見事な肩すかしとなった。

 氏は無罪を訴え、激烈な検察批判を展開した。政治資金収支報告書に間違いや不適切な記載があった程度のことで捜査するのは、政治活動を阻害し、国民の主権を侵害する――と。

 収支報告書は、まさに主権者である国民が、政治家の動きを資金面から監視・批判する大切なよりどころである。問われたのは単年度の少額な記載ミスではない。法の精神と氏の認識との溝はあまりに深い。

 そして、社会の関心が集まる問題の土地購入資金4億円の原資には一切触れなかった。

 刑事被告人には黙秘権があるし、原資の解明は裁判の直接の争点になっていない。だが疑惑の核心はここにある。

 元秘書3人に有罪を言い渡した東京地裁判決は、捜査段階の小沢氏の供述の揺れと資金の流れを丁寧に検討したうえで、原資は手元にあった現金だという当時の氏の言い分を「信用できない」と退けている。

 小沢氏は初公判後に短い記者会見を開いたが、捜査や裁判所の批判にほぼ終始し、原資についても「私のお金です」と一言述べただけだった。このまま沈黙を貫く作戦だろうか。

 国会でも、法廷でも、会見でも、しっかり説明しない。

 一方で、日本が混迷を抜け出すには「政党政治への国民の信頼を取り戻す以外にない」と唱える。同じ初公判での陳述だ。もちろん異論はない。ではそのために、責任ある政治家として自ら何をすべきか。よく考えてもらいたい。

 裁判の行方は、検察審査会の議決で強制起訴になったという経緯もあって、軽々しく予想できない。検察官役の弁護士は、細かなことも報告させ指示に従わせていた日ごろの秘書との関係や、銀行融資申込書に小沢氏が署名している事実などを踏まえ、氏もうその記載を承知していたと主張する方針だ。

 自白など犯罪事実に直接結びつく証拠がなくても、物証や証言から一定の事実を証明し、それらを積み上げて立証する手法は珍しくない。自白偏重の弊害を考えれば、むしろ時代の要請に見合うやり方ともいえる。要はその積み上げの過程が合理的で、納得できるかどうかだ。

 冷静な目で、来春の判決に向けた法廷での攻防の一つひとつを追っていきたい。

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アフガン10年―粘り強く対話の道を

 米国が同時テロへの報復として、アフガニスタンを攻撃してから、7日でちょうど10年になる。7月から米軍の撤退が始まっているが、和平への努力は入り口でつまずいている。

 それどころか、2014年の米軍撤退完了をにらんで、インド、パキスタン、中国など周辺各国が新たなパワーゲームにのめり込む兆しが見えている。

 首都カブールで先月、厳重に警備されている米国大使館がロケット砲で攻撃された。反政府勢力タリバーンの襲撃だ。ビルにたてこもるゲリラとの銃撃戦は19時間も続いた。

 ベトナム戦争の解放勢力によるテト攻勢を思わせる大胆な攻撃だった。カルザイ政権も米国もメンツ丸つぶれである。

 その直後、タリバーンとの和平交渉を担当するラバニ元大統領が、カブールの自宅でテロに遭い殺害された。和平努力への大きな打撃である。

 これに対し、カルザイ大統領はタリバーンとの和平交渉の打ち切りの意向を表明。暗殺にパキスタン当局が関与したとして「テロリストを使っての裏表のある行動」と非難した。

 さらに、大統領はインドと戦略的協調関係を結ぶと宣言した。大国インドとの関係強化で、パキスタンを牽制(けんせい)しようという狙いだろう。パキスタンが反発するのは必至だ。

 アフガン和平のカギは、タリバーンを対話のテーブルにつかせることだ。その実現には後ろ盾のパキスタン政府の協力が不可欠だ。なのに大統領とパキスタンが不信を募らせていては、交渉の糸口もつかめなくなる。

 仲介役が期待される米国も、いら立っている。パキスタンは米軍の補給ルートであり、対テロ戦の戦場である。核保有国でもあり、米国にとって重要な国だ。それでも、米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長が「テロ勢力はパキスタン政府の支援を受けている」と異例の厳しさで指摘した。

 反発したパキスタンのギラニ首相は、友好国である中国に接近する動きも見せている。

 まさに泥沼である。複雑に絡みあう関係各国の疑心暗鬼が、アフガンの政情不安をあおる。交渉による和平への取り組みが失速すれば、1989年のソ連軍撤退の後のような内戦が再燃することになるだろう。

 まず米国には、アフガンとパキスタンの双方を説得して協力関係を築いてほしい。

 そしてカルザイ大統領は、アフガン人同士で和平をめざす基本に立ち返り、タリバーンとの対話を粘り強く探るべきだ。

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