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10月6日付 編集手帳

 「(ばい)()(りょく)」という言葉を用いたのは、曹洞宗の開祖・道元である。『正法眼蔵』に見える。風が吹く。雪が降る。季節がめぐる…。〈みな梅花力なり〉。すべては梅の花の功徳であると◆高邁(こうまい)な哲理には縁遠い凡愚の身ながら、高僧にならって「(おう)()(りょく)」という言葉を使ってみたいときもある。がんばっている桜を見ると、元気が出る――と、昨日の本紙朝刊(東京版)が開花の写真とともに、小学6年生の弾むような声を伝えていた◆岩手県宮古市の小学校で、津波につかったソメイヨシノが季節外れの花を咲かせたという◆専門家によれば、津波による塩害で身の弱った桜の木が子孫だけでも残そうと、時ならぬ花を咲かせたらしい。樹木は樹木で苦しい“災後”を闘っている◆桜の花びらには、改札のハサミを入れた切符のような切れ込みがある。杉山平一さんの詩『桜』より。〈みんなが心に握つてゐる桃色の三等切符を/神様はしづかにお切りになる/ごらん はら??と花びらが散る〉。つらくとも健気(けなげ)に咲く花に、子供たちが「希望」という名の切符を心に持てたならば、それも桜花力の功徳だろう。

2011年10月6日01時26分  読売新聞)

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