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10月5日付 編集手帳

 人間は誕生日後に死亡率が高くなる――という社会学者の珍説があると、作家のI・アシモフが自著に書いている◆米紙の死亡広告から無作為に選んだ747人を調べたところ、その46%が誕生日から3か月以内に死亡し、誕生日前の3か月に死亡した人は8%であったとか。「誕生日も一つの生きる目標になるのだろうか」とは、アシモフ氏の考察である◆その人は誕生日ではなく「10月3日」へ、命の残り火をかき立てていたらしい。カナダ人の免疫学者ラルフ・スタインマン氏(68)が膵臓(すいぞう)がんで死去したのは9月30日である。その3日後、ノーベル生理学・医学賞の授賞が発表された◆死の直前、「賞の発表は月曜日(3日)ですよ」と話しかける家族に、「それまで頑張らないと。死んだら、くれないから」、そう答えている。吉報を自身の耳で聞けなかったのは無念であったろう。授賞決定時には生存していたとみなし、氏には発表通り、賞が贈られるという◆震災以降、命というものが頭を離れないせいか。名前も存じ上げなかった人ながら、せめてあと3日間の「生」が許されたなら…と、心から思う。

2011年10月5日01時25分  読売新聞)

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