HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 04 Oct 2011 23:08:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中学生の美術の成績で「1」をもらったことがある。七宝焼を焼…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 中学生の美術の成績で「1」をもらったことがある。七宝焼を焼きすぎて、ぼろぼろにしたのがいけなかったのか、テストの点数が悪かったのか覚えていない。それ以来、わが身の不器用さを呪ってきた▼もう何十年も絵筆を握っていなかったが、絵手紙の創始者である小池邦夫さんに取材し「下手でいい。下手がいい」という言葉に共鳴。柄にもなく絵手紙に挑戦しようという気持ちがもたげた▼この夏、ほおずき市で買ったホオズキを描き、筆で一言を添えてみた。どこからどう見ても下手だ。二枚描いて、ずうずうしくも小池さんと、友人のイラストレーターのなかだえりさんに送ってみた▼「上手だ」とはさすがに言ってはくれなかったが、お二人はとても喜んでくれた。小池さんは「飾っていない。元気にしてくれる」と返事をくださった。気持ちが伝わったことがうれしかった▼「法隆寺最後の宮大工」の西岡常一棟梁(とうりょう)を継ぎ、たくさんの弟子を育てた小川三夫さんは「不器用の一心に勝る名人はない」という師匠の言葉を紹介して宮大工の修業を語っている▼「器用な人は器用に溺れやすい。ある段階までは速いスピードで行ってしまうから、油断というか、仕事を甘く見てしまうんやな。修業時代の器用なんていうのはたかがしれたものや」(『棟梁』)。すべての修業に通じるところがあるような気がする。

 

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