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10月4日付 編集手帳

 黄門さま、水戸光圀の歌という。〈朝な夕な飯食ふごとに思ふかな恵まれぬ人に恵まるる身は〉。辻嘉一さんの『料理心得帳』(中公文庫)に教えられた。食膳に向かい、農民の労苦に思いを寄せている◆何とも時期が悪い。食事に例えるならば、飢饉(ききん)に苦しむ人の前でお役人が大食い大会を催したように感じた人もいただろう。不自由な仮設住宅に暮らす被災者が大勢いるなかで9月に着工された国家公務員宿舎「朝霞住宅」(埼玉県朝霞市)である◆野田首相はきのう、震災の集中復興期間にあたる5年間の建設凍結を指示した◆老朽化した宿舎は建て替えていいし、周辺の宿舎から建設費を上回る売却益を得る計画にも異存はないが、「恵まれぬ」被災者の心を逆なでしてまで「恵まるる身」が強行する事柄でもない。凍結は穏当な判断だろう◆光圀ゆかりの庭園小石川後楽園(東京都文京区)の名称は〈先憂後楽〉に由来する。「天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」。政治に携わる者の心得である。被災者が生活に楽しみを取り戻したそのあとで、心おきなく建設を再開すればいい。

2011年10月4日01時35分  読売新聞)

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