HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 03 Oct 2011 00:08:23 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中央防災会議 「次」までに備えたい:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

中央防災会議 「次」までに備えたい

 中央防災会議の専門調査会は、千年に一度の最大級地震による津波対策を求め、政府に提言した。国の防災基本計画の見直しや災害対策基本法の改正に生かし、実効を上げていくことが肝心だ。

 提言のポイントは▽発生確度が低い▽資料が乏しく再現が困難−などとして除外してきた「歴史地震」を考慮に入れ、古文書や津波の痕跡を調べ直す必要性を訴えたことだ。東日本大震災との関連が指摘される、貞観三陸沖地震(八六九年)や慶長三陸地震(一六一一年)を“無視”してきた反省も明記している。

 座長の河田恵昭関西大教授は「今後は『想定外』という言葉が出てこないように」と語った。強い決意であり、率直に評価したい。被災地の復興プランだけでなく、全国各地の地域防災計画の見直しにも反映させてもらいたい。

 提言は住民避難を軸に、土地利用や避難・防災施設などを組み合わせた総合対策の確立を求めた。堤防に頼ってきた津波対策の方向転換といえる。政府が復興基本方針で唱えた、被害を最小化する「減災」とも呼応している。

 具体的には避難完了までの目安を「原則徒歩で五分」とした。高台がない地域には避難ビルなどの整備が求められ、自治体の財政負担がかさむ。でも、必要なのだ。計画的に進めてほしい。

 津波を対象とした避難計画やハザードマップがない自治体は、その作成を最優先しなければならない。それぞれの地域の弱点を克服していく観点で、ハードとソフトの組み合わせを考えたい。

 このほか提言は、津波警報のシステムの改善、情報伝達手段の多重化、防災教育を通じた危機意識の共有−にも言及している。今回の大震災で得た教訓ばかりだ。半面、原発には「所在地域では、より詳細な震源域などの調査分析が必要」と触れただけ。福島第一原発の事故がいくら人災とはいえ、もっと書き込んでほしかった。

 中央防災会議は引き続き、東海・東南海・南海の三連動地震について専門調査会を設け、新たな被害想定を算出する。静岡、愛知、三重県や四国や九州では先行して地域防災計画の見直しに着手している。提言は、三連動が発生した場合に日本海側の道路、鉄道、港湾整備など国土全体のグランドデザインも必要とする。

 想定外はない。巨大地震はどこでも起こり得る。「減災社会」の実現へ向けた国の指針をつくり、次の災害までには備えたい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo