HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49157 Content-Type: text/html ETag: "1004c0-16a8-1f87aa80" Expires: Sat, 01 Oct 2011 23:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 01 Oct 2011 23:21:41 GMT Connection: close 検察倫理規定 実績重ねて信頼回復を目指せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


現在位置は
です

本文です

検察倫理規定 実績重ねて信頼回復を目指せ(10月2日付・読売社説)

 法と証拠に基づき真相を解明する。検察官一人ひとりが、その原点に立ち返らねばならない。

 大阪地検特捜部の不祥事を受けて、最高検が倫理規定を策定した。検察の使命や職務遂行にあたって順守すべき規範を初めて明文化したものだ。

 検察官は「公益の代表者」として、犯罪捜査を行い、容疑者を起訴する権限を国民から負託されている。他の公務員以上に高い職業倫理が求められる存在だ。

 ところが、大阪の郵便不正事件では、特捜部が成果を追い求めて、無実の元厚生労働省局長の起訴を強行し、元主任検事が検察に不利な物的証拠を改ざんした。

 規定は、権限行使が独善に陥らぬよう自戒を求めるとともに、被告の権利を守り、真相解明に力を尽くす重要性を説いている。

 単なる精神規定に終わらせず、すべての検察職員に浸透させることが必要である。これらは実践に反映されてこそ意味を持つ。研修や現場での指導を通じて、改めて基本の徹底を図り、捜査や公判の適正化を実現していくべきだ。

 物足りないのは、組織の暴走に歯止めをかける明確な行動規範が見当たらないことだ。

 郵便不正事件で誤った見立てに沿った供述調書が次々に作成されたことは記憶に新しい。一線の検察官が捜査の方向性に疑問を持った時、毅然(きぜん)として上司に指摘する姿勢を持つことが欠かせない。

 規定の中に証拠の開示に関する言及がない点も気がかりだ。

 検察はこれまで、有罪獲得を優先するあまり、被告に有利な証拠を過小評価し、弁護側に開示しないケースも少なくなかった。

 再審で無罪が確定した「布川事件」や再審請求審が続く「東京電力女性社員殺害事件」では、検察に不利な証拠が当初の裁判で開示されていなかったことが明らかになっている。

 2005年から弁護側の主張を補強する証拠についても法律で開示が義務づけられたが、検察の開示はなお不十分との声は多い。

 検察が税金と公権力を使って集めた証拠は、あくまで真相解明という公益に資するものでなければならない。証拠は検察だけの「所有物」ではない、という常識を持つことを求めたい。

 取り調べの録音・録画の試行が始まり、特捜部の再編や監察部門の新設などの組織改革が進んでいる。倫理規定の策定で改革のメニューがほぼ出そろった今、地道な捜査で実績を積み重ね、国民の信頼を回復することが肝要だ。

2011年10月2日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です