『ティー・フォー・トゥー』は、往年の歌姫ドリス・デイが歌って大ヒットした曲である。日本でも『二人でお茶を』の題で知られる▼原詞の一部を大雑把(おおざっぱ)に訳させてもらえば、♪二人でお茶を お茶を二人で あなたの私 私のあなた 二人っきりで ほかに誰もいない…。とにかく、すこぶる甘い歌である▼何となく思い浮かぶのが、ロシアのご両人。プーチン首相とメドベージェフ大統領だ。先日の政権与党「統一ロシア」の党大会で、大統領は、首相を次の大統領候補に、と提案。首相はこれを受け、当選したら大統領を首相にする、と明言した▼そして、来年の大統領選でのプーチン勝利は確実視されている。要は、次は二人がポストを交換するという話だが、何でも「二人で相談して決めた」のだとか。♪あなたの私 私のあなた 二人っきりで ほかに誰もいない…。曲名は、さしずめ『二人でロシアを』か▼ただ、この“カップル”の主導権を握るのがプーチンさんであることは明らかだ。首相は二〇〇〇年から二期八年、大統領職にあったが、ロシア憲法で連続三選はご法度。それを回避するため、側近のメドベージェフさんに玉座を預けていただけにも見える▼まあ、どっちにしろ強権的な指導者に変わりはない。当面、自由で民主的な政治を許すような“甘い歌”が、彼の国に流れる可能性は低かろう。