HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 30 Sep 2011 02:08:24 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:食品汚染 内部被ばく対策本腰を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

食品汚染 内部被ばく対策本腰を

 実りの秋なのに不安は尽きない。放射性物質に汚染された食品の監視体制は十分なのか。内部被ばくとの闘いは今後、長期間に及ぶ。監視網の精度を高め、防御に本腰を入れるべきだ。

 厚生労働省が八月から始めた「抜き打ち検査」で、心配していたことが現実となった。

 埼玉、千葉両県産で既に市販されていた製茶から、暫定規制値を超える放射性セシウムが出た。自治体の監視網をすり抜けていた。

 農水産物の検査は、都道府県が定期的にサンプル検査を行う。法的義務はなく、自治体に任せてきた。だが、検査にばらつきがあることが分かった。

 水産物もサンマやサケなどの漁獲が増える。特にサンマは三陸沖で漁が行われる。水産庁は北海道から神奈川県までの太平洋側九都道県に、主な漁港で水揚げされる海産物の検査を週一回以上実施するよう要請している。検査で暫定規制値を超えた水産物は漁を自粛している。

 ただ、日本原子力研究開発機構の最近の試算では、海洋への放射能放出総量が東京電力の推定の三倍を超えていた。海洋汚染の実態はいまだ不明だ。食品の監視網の目を小さくする努力が必要だ。

 食品を介しての放射性物質の内部被ばくはやっかいだ。体内に入った放射性物質は長期間にわたり放射線を出し続ける。低線量でも長期間浴びると、がんになる可能性が高まる。

 累積被ばく線量は一〇〇ミリシーベルト超だと、健康への影響を指摘されている。一方、それ以下の低線量による影響は分からない。ただ、八月の参院東日本大震災復興特別委員会で古川俊治氏(自民)が、原子力発電所の従業員に対する調査で、一般に比べがんになる率が一・〇四倍になり、その平均累積被ばく線量は一三・三ミリシーベルトだったと指摘した。

 低線量といえど極力被ばくしない体制整備が必要だ。監視精度を上げるには多くの食品を検査することだ。児玉龍彦東大先端科学技術研究センター教授は、高速で検査できる機器の使用を提案している。検討に値するのではないか。

 厚労省は長期戦に備え、緊急的に設けた食品の暫定規制値を見直す作業を始める。規制値はこれまでより厳しくなる見込みだ。

 食品検査の監視網を密にし、規制のハードルを上げる両面で、長く続く闘いに本格的に取り組むべきだ。

 

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