HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 28 Sep 2011 02:05:46 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日本で最も有名なアフリカの女性が亡くなった。荒れ果てた南の…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 日本で最も有名なアフリカの女性が亡くなった。荒れ果てた南の大地に三千万本もの木を植え、虐げられていた女性の地位向上に尽くしたケニアのノーベル平和賞受賞者ワンガリ・マータイさんだ▼MOTTAINAIを合言葉に、環境保護運動を広げたその人の半生は、国家権力との闘いでもあった。強権的な前政権の弾圧を受け何度も投獄されたが、決してくじけなかった▼国も時代も違うけれど、凜(りん)としたマータイさんの生き方は、足尾銅山の鉱毒問題の解決に奔走し、明治天皇に直訴した田中正造の姿にどこか重なって見える。繰り返し投獄された正造も、民衆と生きることを選んだ人だ▼<真の文明は 山を荒さず 川を荒さず 村を破らず 人を殺さざるべし>。約百年前に正造が残した言葉である(小松裕著『真の文明は人を殺さず』)▼放射能が山や川を汚し、人が住めない「死の町」を生んだ原発事故に直面する私たちに、この言葉はずしりと重い。震災を経験した今、マータイさんが世界に広めてくれた「もったいない」の意味にも、あらためて気付かされたような気がする▼はげ山になった足尾は近年、ボランティアの植樹活動も加わり、緑が少しずつよみがえっている。アフリカはどうなのだろう。マータイさんの笑顔をもう見られないと思うとさみしいが、緑に揺れる大地を想像すると心が弾む。

 

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