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天声人語

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2011年9月27日(火)付

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 ごつい鉄扉の前で、石川知裕衆院議員は一つ深呼吸をしたそうだ。昨秋、逮捕から9カ月ぶりに小沢一郎氏と再会した時の様子が自著にある。小沢邸の茶の間、ちゃんちゃんこ姿の主は右手を上げて「おー」と言っただけだった▼鉄板を貼られたような「懐かしい緊張」の中、「無罪を勝ち取ります」と意気込んでも小沢氏は表情を崩さない。そして帰り際に、「お互い、裁判がんばるしかないな」と声をかけられたという。氏の関心はすでに、自身の強制起訴にあったらしい▼石川議員ら元秘書3人の裁判は、小沢氏にとって、オール検察との政治闘争の一部といえる。全員が有罪の東京地裁判決は、一審とはいえ眉間(みけん)への三太刀に値しよう。「おー」と突き放してはいられない▼大勢の秘書を雇い、周囲に高い石垣、深い堀を巡らす小沢氏である。億単位で動く政治資金は、石川議員が法廷で口ごもった通り、透明度を欠く。小沢事務所の「天の声」をおそれ、裏金を貢ぐ建設会社。判決は癒着ぶりを処断した▼来週には、城主自らの初公判が控える。どう「がんばる」にせよ、国会で説明を避けたあまたの疑問に答えてほしい。無口や無表情が政治家のすごみになる時代ではないし、国民も納得しまい▼その人は与党内で、時の首相とは別の権力を振るう。焦点が二つある「楕円(だえん)の政権」が、この難局にうまく転がるはずもない。小沢氏はひとまず一線を退くべきだ。氏を説き伏せ、「おー」と言わせる側近はいそうにないけれど。

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