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9月26日付 編集手帳

 貧しい国から豊かな国へと、生きるために国境を越えて移動する人の流れは尽きることがない。かつて世界各地に植民地を持った欧州諸国が、異文化共生を迫られているのも、中東のドバイが人種のるつぼと化したのも、その流れ故である◆この人の動きに、異変が起きている。15世紀に始まる大航海時代に七つの海を制したポルトガルでは今、大学卒の若者らが仕事を求めて、旧植民地のブラジルやアンゴラに向かっているという◆財政危機による歳出削減策で雇用の場が減り、同じ言語で仕事ができる新興国や産油国が「頭脳流出」先となった。カブラルのブラジル発見から500年余を経て、歴史は大きな転換点を迎えたようだ◆ポルトガルは、ブラジル流のつづり方に合わせる言語改革も実施している。ボタンやパンなど今も日本語の中に生きる文化を伝えた南蛮人の末裔(まつえい)たちは、ときに自尊心を捨てる術も学んだのだろう◆ポルトガルには、日本の演歌にも似た大衆歌謡がある。「ファド(運命)」と呼ばれる。哀愁あふれるその調べを聴くと、「盛者必衰」の運命を詠んだ平家物語の一節が浮かんでくる。

2011年9月26日01時08分  読売新聞)

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