HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sun, 25 Sep 2011 22:05:26 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:瀬戸内海に面した造船所跡地に、艦橋から船首まで実物大に再現…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 瀬戸内海に面した造船所跡地に、艦橋から船首まで実物大に再現された戦艦「大和」がよみがえった。二〇〇五年公開の映画「男たちの大和/YAMATO」の撮影現場を訪ねた時、俳優の松山ケンイチさんが元乗組員から銃座で指導を受けていた▼原作は歌人で作家の辺見じゅんさんが一九八三年に発表した作品だ。生存者や遺族を丹念に訪ねて、将官ではなく、水兵や下士官から見た戦争を描く視点が深く印象に残った▼旧ソ連の強制収容所で、昭和二十九年に病死した山本幡男の不屈の生涯を描いた「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」も忘れがたいノンフィクションだ▼帰国まで美しい日本語を忘れないようにしようと、句会などを開いて仲間を励ました山本の四千五百字の遺書を、友人たちはソ連兵の監視から逃れるため頭に刻み込む。戦後十一年を経て帰国後、それぞれ山本の遺族に伝えた▼過酷な状況の中でも、人間らしく生きた人々を温かく描いた辺見さんが亡くなった。七十二歳だった。角川書店を創設した父から、死の間際に戦争体験を聞いたことが一連の作品に取り組むきっかけになった▼〇二年、本紙で故城山三郎さんと対談した際、辺見さんは二十一世紀に書き続けるためのキーワードを四つ挙げた。ふるさと、きずな、命。そして、一番大切なのは歴史に学ぶこと。「遺言」として大切にしたい。

 

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