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あまり言われることもないようだが、佐藤栄作氏は20世紀生まれ初の総理大臣だった。「戦後生まれ初」は安倍晋三さんである。そこで野田さんだが、日本の国連加盟後に生まれた初の首相、と相成る▼日本は1956(昭和31)年、悲願の国連加盟を果たして国際舞台に復帰した。手間取ったのは、ソ連の度重なる拒否権行使で申請が葬られたからだ。ようやく加盟がかない、重光葵(まもる)外相の総会演説が大きな拍手に包まれたのは、今も語りぐさだ▼時は流れて、そんな歴史も思い起こすパレスチナの国連加盟申請である。自治政府のアッバス議長は総会で「パレスチナの春を」と訴えた。拍手喝采は、応酬するイスラエル首相の演説の影を薄くした。困ったのは米国である▼申請はまず安保理に付託されるが、イスラエル寄りの米国は拒否権の行使を明言している。これをサルコジ仏大統領は「中東で暴力の連鎖を生む恐れがある」と批判する。同じ懸念を抱く指導者は少なくはあるまい▼米国はこれまで、イスラエルに不利な採決に拒否権を連発してきた。安保理の常任理事国5カ国だけが持つ伝家の宝刀だが、今回は問題が大きい。抜けば副作用もあろう。安保理は当面、緊張のうちに駆け引きが続く▼そうして波立つ国連から野田首相は戻ったが、国際社会に存在感を示せただろうか。あれこれ苛立(いらだ)つ米国に普天間問題の「結果」を催促された印象ばかりが残る。回転扉と揶揄(やゆ)される1年交代のツケはやはり、つくづくと大きい。