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9月24日付 編集手帳

 タレントの島田洋七さんは少年の頃、祖母から教わった。「悲しい話は夜するな。つらい話も昼にすれば何ということもない」。自伝的小説『佐賀のがばいばあちゃん』(徳間文庫)で回想している。夜にはそういうところがある◆本紙の都民版に載る日の入りの時刻が毎日何分かずつ早まっていくのを見ていると、何かに追い立てられているような心持ちになる。「秋分」を過ぎれば、夜長の季節はもうすぐである◆つらい話が今も身を離れないだろう被災地の夜を思うとき、虫の声や読書といった秋の夜の楽しみを、今年はあまり語る気分になれない◆山形県人の作家ふたり、藤沢周平さんと井上ひさしさんがある対談で、祭りが終わって潮の引くようににぎわいが去ったあとに訪れる東北の秋のさびしさを語っている。「あの秋がなかったなら、私は小説なんか書く気にならなかったでしょう」と藤沢さんが言い、「そのさびしさを慰めるために、クリやアケビやキノコを野山は恵んでくれます」と井上さんが応じていた◆それにつけても「原発事故の収束を一日も早く…」と、夜の物思いはいつもそこに帰る。

2011年9月24日01時16分  読売新聞)

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