HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 23 Sep 2011 21:05:00 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日米首脳会談 沖縄の声がなぜ届かぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日米首脳会談 沖縄の声がなぜ届かぬ

 野田佳彦首相が日米首脳会談で米軍普天間飛行場の返還に関し、沖縄県名護市辺野古に県内移設する日米合意に基づいて進める考えを示した。国外・県外移設を求める県民の声はなぜ届かないのか。

 想像はしていたが、やはり残念だ。首相とオバマ米大統領との初顔合わせとなった日米首脳会談。首相は県内移設に向けて「沖縄の負担軽減を図り、理解を得られるよう全力を尽くす」と伝えた。

 辺野古への移設は、名護市をはじめ、公有水面埋め立ての許可権を持つ仲井真弘多県知事が反対しており、実現はかなり難しいのが実情だ。首脳同士の初顔合わせは厳しい現状を直接伝える好機だったが、首相は逸してしまった。

 大統領は「これからの進展に期待する。結果を求める時期が近づいている」と語ったという。

 首相がやるという以上、大統領が期待するのも当然だが、首相にそれをやり遂げる確たる見通しや覚悟があるのか。甚だ疑問だ。

 野田内閣は沖縄振興のための新たな一括交付金を二〇一二年度予算から導入するという。公式には一括交付金と普天間問題とは別としているが、県内移設の前進につなげたい思惑が透けて見える。

 沖縄県側が三千億円の一括交付金創設を求めているとはいえ、札束で県内移設を受け入れさせるなら、県民の反発を買うだけだ。

 仲井真知事は首相とほぼ同時期に訪米し、米上院軍事委員会のレビン委員長らと会ったり、ワシントンの大学で講演したり、記者会見したりして、県内移設の難しさを米側に直接伝えた。

 外交は政府の専権だが、沖縄県知事の度重なる訪米は日本政府が沖縄の実情を直視せず、県民の声を聞き入れようともしないことへの、やむにやまれぬ行動だろう。

 レビン氏らが提案した普天間飛行場の米空軍嘉手納基地統合案はにわかには受け入れがたいが、米議会の方が沖縄の実情を理解していると言ったら言い過ぎか。

 首相には県内移設のためにわれわれが思いも寄らない妙案があるのか。それとも米軍占領下の沖縄で基地用地を強制収用した「銃剣とブルドーザー」のような手法で新しい基地を造るつもりか。

 県内移設を強行すれば、県民の対米軍感情は決定的にこじれ、日米同盟の健全性は失われる。首相はそこまでを見通して日米合意推進を大統領に誓ったのだろうか。できない約束はしない。民主党は政権に就いて学んだはずだが。

 

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