HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 23 Sep 2011 02:08:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:結核予防 風邪と思い込む前に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

結核予防 風邪と思い込む前に

 結核は既に過去の病と思われがちだ。確かに患者数は減っているが、一方で新たな患者は出続けており依然、油断はできない。二十四日からの結核予防週間を機に、予防や治療に関心を持ちたい。

 今月十三日、大阪府内の医療センターで働く女性助産師が結核に感染していたことが分かった。三百人を超える新生児や乳児らと接触していた可能性がある。

 横浜市消防局では職員が集団感染し、一部職員が東日本大震災の被災地に派遣されていた。感染例が各地で報告されている。

 結核は結核菌による感染症だ。感染者の大半は発症しないが、加齢や別の疾患で抵抗力が落ちたりすると発症する。菌は主に肺で増えせきなどで感染する。せきやたんなど風邪の症状に似ている。

 患者数は減少傾向だが、厚生労働省によると、新たに判明する患者は毎年二万三千人を超える。死者も毎年二千人いる。

 病気にかかる率(罹患(りかん)率)は人口十万人当たり一八・二人、欧米の三〜四倍と、先進国では中程度のまん延国といわれ続けている。

 患者は高齢者に多いが、最近は外国人に増えている。

 気になるのは被災地だ。厳しい避難所生活を強いられ抵抗力が落ちた高齢者に患者が増える懸念がある。そうなれば周囲への感染リスクも高まる。警戒が要る。

 感染症対策は早期発見と確実な治療が基本になる。

 だが、発症から初診まで二カ月以上かかったケースが全体の約二割ある。患者数の減少で医療関係者の関心が薄れ、診断に結び付かないことがある。患者も風邪と思いやすい。医療関係者への研修や国民への周知が引き続き大切だ。

 治療で服用する抗結核薬は、症状が治まっても半年以上飲み続けないと菌を抑え込めない。しかし途中でやめてしまう患者がいる。逆に、中途半端な服用で菌が耐性化し問題となっている。薬の効かない菌の感染拡大が懸念される。

 厚労省は、保健所で医師や看護師の前で患者に確実に服用してもらう支援を進めている。全保健所の九割以上で実施されているが、さらに徹底が求められる。

 戦後、結核は死因一位で国民病だった。対策が進められ、昨年は二十六位にまで下がった。厚労省は罹患率を二〇一五年までに、人口十万人当たり一五・〇人以下にする目標を掲げる。感染症の封じ込めには、社会がその疾患に関心を持ち続けることが大切だ。

 

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