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天声人語

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2011年9月23日(金)付

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 プロゴルファーの有村智恵さん(23)が7月、アルバトロスとホールインワンを1日でやってのけた。前者は1ホールを規定より3打少なく終える夢のスコア、後者は1打で入れる離れ業だ。過去10年、女子ツアーでの達成はそれぞれ5回、150回だった▼単純計算すると、同じラウンド(18ホール)で両方やる確率は、プロでさえ約1千万ラウンドに1回という。それでも、起きる時には起きる。ご本人は「怖いくらい」と話していた▼この偉業を思い出させたのは、きょうにも落ちてくるという米国の人工衛星だ。破片が人間に当たる確率は3200分の1だとか。グリーン上の奇跡に比べ、それこそ「怖いくらい」の高確率である▼落下するのは20年前に打ち上げられた大気観測衛星。大気圏への突入時にほぼ燃え尽きるが、米航空宇宙局(NASA)によると、26個の金属片、計532キロ分が800キロ四方の範囲に降るらしい▼ニュースの主になりうるのは北緯57度〜南緯57度にいる人で、大抵の国が含まれる。ただ、場所の絞り込みは直前でも難しいそうだ。数十億人の中の不運な誰かが、私(あなた)である確率は21兆分の1というから、むやみに頭上を気にしても仕方がない▼かの衛星には功績もある。オゾン層破壊の元凶が人の手で作るフロンガスだと、はるか天空で確認してくれた。南極上空などに開いたオゾンホールからは、皮膚がんを誘発する紫外線が降り注ぐ。秋分の空を仰いで気をもむべきは、こちらだろう。

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