HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48992 Content-Type: text/html ETag: "1005d8-165f-749c7740" Expires: Thu, 22 Sep 2011 03:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 22 Sep 2011 03:21:41 GMT Connection: close 原発工程表 事故の収束へ課題はまだ多い : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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原発工程表 事故の収束へ課題はまだ多い(9月22日付・読売社説)

 政府と東京電力が、福島第一原子力発電所の事故収束に向けた工程表の改訂版を公表した。

 改訂版は、収束作業の達成状況を概観し、放射性物質の放出を事故直後より大幅に抑制できたと評価している。

 ただ、原子炉の破損部から、大気や海洋への放射性物質の漏出は続いている。原発の安全確保の鉄則とされる「閉じ込め」の達成には、ほど遠い。

 放射性物質の漏出ゼロへ、さらなる取り組みを求めたい。壊れた建屋に代わる遮蔽壁の設置などを本格化させるべきだ。

 改訂版はまた、原子炉を安定して冷却する「冷温停止状態」へ向けた取り組みも順調、とした。

 冷温停止は、ステップ2の主要目標だ。その達成期限を来年1月としてきたが、政府と東電は年内に前倒しすると表明した。一定の前進と言えよう。

 1〜3号機の原子炉は事故で壊れ、核燃料は溶融した。外部から水を注いで冷却している。

 事故直後は、冷却後の汚染水が原発内にたまる一方だった。しかし、8月には新設の処理システムが安定して動き始め、水を循環させることが可能になった。

 原子炉への注水量も増え、ひとまず1、3号機は、炉心温度が100度以下になった。

 2号機も、注水法を工夫して安定冷却を急いでもらいたい。

 安定冷却ができれば、水蒸気の発生量が減る。結果的に、蒸気に混じって出る放射性物質もなくなると期待されている。

 改訂版で示した収束作業の進展を踏まえ、政府は、原発の半径20〜30キロ圏を対象とする「緊急時避難準備区域」の指定を、月内にも解除する方針を明らかにした。

 避難範囲の縮小は初めてだ。区域に指定された5市町村からは約3万人が避難している。

 しかし、住民の帰還実現への課題は山積している。

 まずは、放射性物質の汚染除去を急がねばならない。汚染が深刻な地域で除去作業をどう進めるかというスケジュールや、必要な費用の確保について、政府は、早急に具体案を示す必要がある。

 上下水道や電気などインフラの回復を始め、生活基盤の再構築もまったくめどが立っていない。

 住民の避難生活が長引く中、改訂された工程表が、今回、生活の再建へ向けた支援策に一切言及していないのは配慮を欠く。

 政府として、この点も早急に見通しと具体策をまとめ、関係市町村に提示すべきである。

2011年9月22日01時55分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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