HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48484 Content-Type: text/html ETag: "b97f6-1663-f0123280" Expires: Tue, 20 Sep 2011 21:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 20 Sep 2011 21:21:37 GMT Connection: close 基準地価 底入れのカギは復興と防災策 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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基準地価 底入れのカギは復興と防災策(9月21日付・読売社説)

 地価の底入れに向け、政府は震災復興に全力を挙げなければならない。災害に強いまちづくりが急務である。

 国土交通省が、震災後初の調査となる7月1日時点の基準地価を発表した。

 全国の地価は、住宅地が前年比3・2%、商業地が4・0%下落した。住宅地は20年連続、商業地は4年連続のマイナスだ。半年ごとの下落率は、昨年後半より震災後の今年前半の方が拡大した。

 地価が下げ止まらない状態が続けば、デフレはさらに長期化し、景気回復の足を引っ張る。

 不動産を担保にした借り入れが多い中小企業などの資金調達に悪影響を及ぼし、個人資産の目減りで消費も冷え込むだろう。

 特に懸念されるのが、被災地である東北の住宅地、関東の商業地の落ち込みが目立つことだ。

 岩手、宮城、福島の3県では、津波被害が甚大な沿岸部を中心に住宅地の下落率が拡大した。

 原発被害に直撃された福島県は商業地の下落も際立っており、郡山市の下落率は15・0%で、全国の商業地で最大となった。

 震災と原発事故の影響は、全国に及びつつあるようだ。

 東京圏では、液状化や停電の不安などで湾岸部の高層マンションの買い控えが強まっている。

 高知県は、都道府県別の下落率で住宅地、商業地ともに1位だった。南海地震による津波被害への懸念がうかがえる。

 一方、個人や企業の西日本への移動が増えたことを反映し、大阪圏では、地価が上昇や横ばいとなった地点が増加している。

 震災を契機に不動産市場に変化が生じていると言えよう。

 住宅やオフィス選びでは、防災に優れた免震構造のマンションやビル、地盤が安定している地域などが重視されている。

 政府は、液状化対策を強化するなど防災に配慮した施策を拡充することが必要だろう。

 国交省は7月に打ち切った住宅エコポイント制度を復活させる方針だ。省エネ基準を満たした住宅の新築や改修を優遇する内容で、住宅の需要喚起策が地価安定にもつながることを期待したい。

 今回の調査結果では、住宅地の地価が下落した被災地であっても、津波被害を免れた一部の地点で地価が上昇した所があった。

 復興計画が遅れている隙を突かれ、被災者の高台移転を当て込んだ土地投機の兆候だとすれば問題である。政府は地価を監視するとともに復興計画を急ぐべきだ。

2011年9月21日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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