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年金改革 自公政権当時の知見を生かせ(9月20日付・読売社説)

 民主党政権に代わってから2年間、年金改革は全く進まなかった。これ以上、時間を空費することはできない。

 厚生労働省は、社会保障審議会に特別部会を設置するなどして、現行の年金制度を手直しする議論に着手した。

 菅政権がまとめた「社会保障と税の一体改革案」に基づく具体的な検討作業がようやく始まる。

 民主党が政権公約(マニフェスト)で掲げていた「新しい年金制度の創設」は、一体改革案では事実上、棚上げされた。政府・与党は、現行の年金制度を改善し、強化していく方針を示した。

 遅きに失したが、現実的で合理的な選択と言えよう。

 現行制度には、低年金・無年金者の増加や保険料の未納など、多くの問題がある。民主党は「国民共通の所得比例年金」と「全額税による最低保障年金」を創設すれば、それらを一気に解決できるかのように喧伝(けんでん)してきた。

 だが、仮に新制度ができるとしても、完全移行までには何十年も要する。現行制度の改善を急がなければ問題は深刻化するだけだ。「新制度創設」だけを強調して、改善策への取り組みを怠ってきた政府・民主党の責任は重い。

 現行制度の見直しに必要な論点は、すでに整理されている。

 パートなど非正規労働者が正社員と同じ厚生年金に加入できるようにする、民間の厚生年金と公務員の共済年金を統合する、低年金の高齢者に一定額まで年金を上乗せする――といったことだ。

 その多くは、自公政権当時に、現行制度の改善策として議論を一度、煮詰めたものだ。会社員と公務員の年金一元化やパート労働者への厚生年金適用拡大は、法案として国会に提出されている。

 当時、野党だった民主党が「必要なのは抜本改革だ」と主張する中で廃案となったが、成立していれば、少なくとも現行制度の見直しは動き出していただろう。

 議論は結局、政権交代前まで遡って、やり直す形となった。理念先行のマニフェストの弊害がまた一つ、露呈したと言える。

 野田首相は国会で、マニフェストに関して「実現できていないものについては率直に認める」と答弁した。当然、民主党の年金改革案も念頭に置いた発言だろう。

 一から同じ議論をくり返す余裕はない。自公政権で詰めたものは生かし、その延長線上で与野党は知恵を出し合うべきだ。自民、公明両党も、超党派協議に応じなければならない。

2011年9月20日01時15分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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