HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48829 Content-Type: text/html ETag: "a2283-1647-c9400600" Expires: Mon, 19 Sep 2011 02:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 19 Sep 2011 02:21:38 GMT Connection: close 敬老の日 住民が見守り合う地域社会に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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敬老の日 住民が見守り合う地域社会に(9月19日付・読売社説)

 東日本大震災は、全国でも高齢者の比率が高い地域を襲った。

 仮設住宅や全国各地に避難している人の中にも、大勢のお年寄りがいる。

 きょうは敬老の日。

 被災した高齢者の生活再建をどう支援していくかは、今後の高齢者行政を充実させる上でも、大事な視点である。

 日本社会の高齢化は年々、加速している。総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は23%に達した。10年後には約30%になる。

 高齢者の約6人に1人、460万人が一人暮らしだ。単身高齢者は過去10年で150万人以上増えた。10年後には630万人を超えると見られている。

 内閣府の調査で単身高齢者の男性は2割、女性は1割近くが「困った時に頼れる人がいない」と答えている。薄れつつある地縁血縁の結びつきを補う、新しい絆を創っていかなければならない。

 そういう意味では、被災地の地域社会を、寂しい思いの高齢者を出さずに再生していくことが、直面する超高齢時代への対処法を探ることにもつながるだろう。

 たとえば被災地では、住民同士が程よく見守り合う、「長屋づきあい」をイメージした住宅提供の試みが動き出している。

 岩手県釜石市は、東京大学の高齢社会総合研究機構と協力し、近所同士の関係を醸成しやすい仮設住宅を作った。

 玄関を向かい合わせに配置し、住宅の間を屋根付きのウッドデッキで結んで、気軽に行き来できるようにした。介護拠点や子どもの遊び場も併設して、高齢者だけでなく子育て世帯など、様々な世代が助け合うコミュニティーだ。

 期間限定の仮設住宅にとどまらず、今後の街づくりにも生かしていける発想である。

 福島県相馬市では、市が雇用した「買い物・生活支援員」が、リヤカーに食品などを積んで仮設住宅を訪問し、販売している。

 高齢者や障害者など“買い物弱者”の支援が目的だが、被災者の近況や要望を聞き、見守る役目も果たしている。福祉型の雇用創出策でもある。

 こうした被災地での取り組みをこれからの施策に生かし、発展させることが重要だ。

 避難者を公共住宅などで受け入れた全国の自治体も、孤独死などの悲劇を生まぬよう、個別訪問など、ふれあいに努めている。

 そんな経験をうまく生かして、高齢者が暮らしやすい地域社会を広げていきたい。

2011年9月19日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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