HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 47980 Content-Type: text/html ETag: "f5239-12f7-4d78cc00" Expires: Sun, 18 Sep 2011 03:21:15 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 18 Sep 2011 03:21:15 GMT Connection: close 9月18日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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9月18日付 編集手帳

 茨城県北茨城市。海沿いの国道に面した「二ツ島観光ホテル」の前で、36枚の黄色い小旗が風に揺れている。「思いを叶える 女将」「おいしい料理を食べさせて 常客」などの文字が読める◆3・11の大津波で、一部の客室や改装したばかりの宴会場が破壊された。当日の予約客の安否確認を終え、従業員を解雇し、専務と二人、暗い館内に立った時、女将の中野玲子さん(57)は「悲しいとも思わなかった。感情をなくしていた」という◆再開へ、背中を押したのは関東一円の馴染(なじ)み客たちだった。「頑張って」「会いに行くから」。ホームページに書き込みがあふれた。黄色の小旗は千葉県在住の妹(52)が大好きな高倉健さんの映画をヒントに縫ってくれた。「復興の狼煙(のろし)にしようよ」と◆今月、半年ぶりの営業にこぎ着けた。原発事故の影響で、近くの港にいつもの魚は揚がらない。アンコウの季節に、客足は戻るだろうか。借金もある◆心配事は多いが、今はお客を迎えられるだけで(うれ)しい。「一生懸命やってきてよかった」と涙を拭う。津波で丸禿()げになった奇岩・二ツ島が女将の細腕を見守っている。

2011年9月18日01時06分  読売新聞)

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