HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 16 Sep 2011 22:08:32 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:国連と原発安全 福島の教訓を共有せよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

国連と原発安全 福島の教訓を共有せよ

 国連が原子力安全に関する報告書を公表し、世界で稼働、計画中の原発について事故の危険性の想定を見直すよう求めた。福島第一原発事故の教訓を、国際社会が共有しなくてはならない。

 報告書は福島第一原発について起きうる事故の想定と、事故が環境に与える影響の評価が「甘すぎた」と厳しく指摘した。

 また国際原子力機関(IAEA)に対し、地球規模で放射線量を常時測定するシステムを構築するよう求めた。

 報告書は二十二日に国連本部で開かれる原子力安全に関する首脳級会合で議論のたたき台となる。野田佳彦首相が出席するが、事故の収束見通しと今後の原子力政策を明確に説明する必要がある。

 国連本部での動きと並行して、IAEAは理事会で原発安全強化のための行動計画を採択した。

 IAEAはすべての原発保有国(現在二十九カ国)に対し、今後三年以内に最低一回、原発の運転状況を検証するIAEAの調査団を受け入れるよう要請する。これとは別に、各国の原子力規制機関がどれだけ政府や電力業界から独立しているかをみる調査にも応じるよう求める。

 ただ調査は「自発的な受け入れが強く奨励される」という文言で任意となった。経済発展のため原発推進を目指す新興国が、義務化に難色を示したためだ。

 まずは日本をはじめ、米国やロシア、中国、欧州諸国などが進んでIAEAの調査に応じ、道筋を付けるべきだ。原発を多く保有する国々での検証が進めば、「世界にある原発の安全性は十分か」を確認できる。

 「核の番人」と呼ばれるIAEAには、各国出身の職員約二千三百人が集まる。これまでは北朝鮮やイランに対する査察など核兵器開発の監視と、原子力の平和利用を二大目標に掲げてきたが、今後は原発保有国に安全確立を促す重責を担うことになる。専門家集団としての力量が問われよう。

 国連の報告書は、原発が世界のエネルギー需要を満たすため今後も重要な役割を果たすという見解を示した。化石燃料と比べれば技術面での発電コストは安く、地球温暖化への影響も少ないという利点は確かにある。

 しかし、原発でいったん大事故が起きれば、放射性物質が拡散し、住民の健康被害や長期にわたる土壌汚染を引き起こす。国際社会は原子力の負の側面から、目をそらすべきではない。

 

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