HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49109 Content-Type: text/html ETag: "ae749-1673-5addd240" Expires: Thu, 15 Sep 2011 22:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 15 Sep 2011 22:21:42 GMT Connection: close 日本版GPS 宇宙開発の先導役目指したい : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


現在位置は
です

本文です

日本版GPS 宇宙開発の先導役目指したい(9月16日付・読売社説)

 日本版の全地球測位システム(GPS)を構築する方針を、政府の宇宙開発戦略本部の専門調査会がまとめた。

 これを活用した産業活性化が期待されている。米国も安全保障の観点から日米連携を歓迎している。日本の宇宙開発の先導役となるよう、詰めを急ぎ、実現を目指してもらいたい。

 カーナビに使われているGPSは、米国の人工衛星からの電波を解析し、地上の位置を割り出している。もとは米軍が開発したもので、全世界をカバーしている。

 日本版GPSは、日本から豪州までの上空を、8の字形に周回する「準天頂衛星」を4〜7基打ち上げて使う。主に日本列島と周辺地域に対象を絞ったものだ。

 常に1基以上が日本の上空に位置することになり、電波の死角がないといった利点がある。位置を割り出す精度が上がり、1メートル単位の測位も可能になるという。

 米GPSは携帯電話をはじめ幅広く活用され、宇宙開発の成果が暮らしに生かされている。日本版の構築で、さらに広げたい。

 たとえば、高齢者や障害者の歩行用“カーナビ”や、自動車の衝突警報、大規模農地での精密な施肥管理などに役立ちそうだ。

 東日本大震災後は、防災への応用も注目されている。地上通信網が途絶しても、広域の被災状況を把握できよう。福島第一原子力発電所事故の放射能汚染でも、遠隔操作による除去作業を効率的に進めることが可能になる。

 欧州や中国も、独自のGPS構築に積極的だ。中国版「北斗」は運用開始が近い。経済、軍事で影響力を拡大しようとする中国の動きは座視できない。日本版GPSをアジア地域で普及させれば、各国との連携が進み、安全保障上も重要な意義を持つだろう。

 ただ、課題も少なくない。

 巨額の予算を要する。4〜7基の衛星打ち上げに1700億〜2900億円かかる。他の重要な宇宙プロジェクトとの間で優先順位を上げる工夫が必要だ。

 衛星の製造、打ち上げを日本の宇宙産業が担うためには、乗り越えるべき関門がある。

 日米は1990年、貿易摩擦を緩和するため、実用衛星については公開入札することで合意している。だが、準天頂衛星を米企業に受注されては、日本の宇宙産業は窮地に陥ってしまう。米国には例外扱いを求めねばならない。

 野田首相は、宇宙開発への意欲を示している。難題の解決にリーダーシップを発揮すべきだ。

2011年9月16日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です